【動画あり】中国、NHKニュース遮断の裏側は…「より巧妙になった」

西日本新聞 社会面 坂本 信博

【あなたの海外特派員】

 【北京・坂本信博】中国でNHKニュースを見ていると突然、放送が中断される場面に度々出くわす。当局が不都合な情報を庶民に見せないようにするための措置だが、「どんな内容がカットされるの。仕組みは?」との疑問が、西日本新聞の海外特派員が読者の調査依頼にこたえる「あなたの特派員」に寄せられた。調べると中断は今年に入って少なくとも20回超。その内容から当局にとって何が「敏感」なテーマかが見えてきた。

 10月中旬から2週間、日本時間午後7時開始のNHKニュースを中国国内の衛星放送で毎晩視聴した。

 10月18日。中国で国旗の尊厳を損なうことを禁じた国旗法改正案の可決を伝えるニュースの途中、異変が起きた。放送が途切れ、画面がカラーバーと「NO SIGNAL PLEASE STAND BY 信号異常 馬上回来(すぐ戻ります)」の文字に切り替わった。約25秒後、「『ワン』と鳴くイヌガエルの繁殖に成功」の話題から元の放送に戻った。

 同法は少数民族の祝日も国旗掲揚を義務付けており「政府への反発が根強い新疆ウイグル自治区などでも愛国心を高めたい狙いがある」と伝えた部分は放送された。だが「香港、マカオでも関連条例が改正される見通し」という内容や、香港で昨年から続いた抗議活動の映像と「中国国旗を燃やす場面もあった」という部分がカットされた。

 国家安全維持法が施行された香港を巡る同日夜のNHKスペシャル「香港 激動の記録~市民と“自由”の行方」(放送時間49分)は冒頭の40秒のみを放送。香港の新聞社が当局から捜索を受けるシーンの後、番組終了まで「信号異常」が続いた。同26日には、中国共産党中央委員会の総会開幕のニュースで「習近平国家主席の任期を永遠に延ばすための布石」との専門家のコメントが削除された。

 こうした放送中断は今年1月以降、20回以上=表参照=に上った。どれも中国共産党や習指導部に批判的な内容で、当局が庶民の目に触れないよう規制したことがうかがえる。

 NHKによると、中国での放送はNHKが衛星を通じて提供したものを中国側が受信し、政府の規制に従って、別の衛星を通じて中国国内に配信している。

 テレビ電話で日本と中国をつなぎ、同じ番組を視聴すると、中国の放送は日本より約1分半遅かった。中国側はこの時差を使って内容を常時点検しているようだ。中国メディアの関係者は「共産党中央宣伝部の指導を基に、現場が遮断の是非を判断する」と明かす。領土や主権を巡る「国家の核心的利益」に抵触するかが判断基準の一つという。

 実は、放送中断時に文字付きカラーバーが表示されるようになったのは今秋から。それまでは画面が真っ暗になるだけだった。北京在住の日本人男性は「電波異常を装って、より巧妙になった」と指摘する。一方で「『見るべきではない内容だ』という警告では」(外交筋)との見方もある。

 NHK広報部は「提供した番組をそのまま中国で再送信してほしいと考えており、大変残念。こうした規制は、NHK以外の他の国の国際チャンネルも受けている」としている。

PR

国際 アクセスランキング

PR

注目のテーマ