タイ、反体制派支持の改憲案否決 学生ら大規模デモ

西日本新聞 国際面 川合 秀紀

 【バンコク川合秀紀】タイの国会は18日、憲法改正の大まかな方向性を決める最初の採決を行い、改憲草案を検討する会議を設置する案は可決したものの、王室に関する条文見直しや軍の影響下にある上院の権限縮小につながる市民団体や野党の案はいずれも否決した。王室改革などを掲げる学生ら反体制派は「ゼロ回答」に強く反発。17日の国会前に続き、18日は都心の繁華街交差点で大規模デモを行った。

 改憲案は与野党と市民団体が出した計七つ。9月に採決予定だったが与党の引き延ばしで延期され、17日に審議を再開。3回の採決が必要な国会手続きの第1段階である「第1読会」での採決が18日あった。

 このうち、王室に関する条文は除いた形で改正の可否を検討する改憲草案会議を設置する与党と野党の2案は賛成多数で可決した。

 市民団体の改憲案は学生ら反体制派が支持。有権者約10万人が署名し、発議に至った。国王の絶対不可侵性など王室に関する条文を含め全面的な改正を可能とする案で、野党が賛成に回ったが否決。野党は、国会最大勢力で軍事政権が事実上任命した上院議員を首相選出投票から除外する案などを発議したが、これも否決された。いずれも与党と上院側が棄権か反対した。

 今後、二つの「読会」でさらに審議と採決を行った後、改憲草案会議が発足する方向。だが改憲作業は数年かかるとみられ、王室関連の条文や上院議員の権限に関する条文の改正に踏み込まないのは確実だ。

 王室改革や憲法改正などを求める学生ら反体制派は強く反発。18日夕、バンコク屈指の繁華街にある大型交差点に集まってデモを強行し、近くの国家警察本部に行進。「市民団体の案は否決されたが野党が賛成した。今後は彼らも一緒に活動する」と訴えた。

 地元メディアによると、17日に国会近くで発生した反体制派と王党派の衝突のほか、警察の放水や催涙ガス使用による負傷者は計50人を超え、一連の反体制デモで最悪となった。うち数人は何者かのゴム弾発砲によるものだったとの情報がある。人権に詳しい法律家でつくる団体は18日、デモ現場にいた警官隊が突然撤収したため、衝突を招いたと批判する声明を出した。

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