春告げ鳥と呼ばれるウグイスの初鳴きや桜の開花…

西日本新聞 オピニオン面

 春告げ鳥と呼ばれるウグイスの初鳴きや桜の開花、夏を実感するアブラゼミの声…。四季のページをめくる生き物たちのメッセージを、その年の暦に刻む。気象庁が半世紀以上続けている生物季節観測だ

▼全国58地点で、植物34種、動物23種を対象に、開花や初見、初鳴きなどを調べている。その観測を、来年から全ての動物と大半の植物について取りやめるという。都市化などが進み、観測が難しくなったためだ

▼観測に当たる職員が苦労していると聞けば、やむを得ないかもしれないが、季節の変わり目に挟むしおりがなくなるようで寂しい気もする。それでなくても、ことしは季節の移ろいが遠く感じられた

▼新型コロナの流行だ。春には緊急事態宣言が出され、外出自粛が求められた。自然に触れ、花や鳥をめでる機会が減った。毎年の楽しみだった祭りや催しも中止された。酷暑の夏にマスクを着け、木枯らしの季節にも窓を開けて換気するのが日常の風景になった

▼一時おとなしかったコロナがまたぞろ猛威を振るい始めた。政府のキャンペーンで多くの人が旅行や飲食を楽しんだ結果か。寒くなったせいか。来月予定していた忘年会も早々と中止に

▼この時季の生物季節観測の対象はイチョウの黄葉。通勤途中の街路樹はすっかり黄色に染まった。風に舞う枯れ葉は秋から冬への招待状のよう。冬の訪れを、コロナの隆盛に教えてもらいたくはない。

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