「治水に期待」「結論早い」 再び分断か、割れる民意 豪雨から4カ月

西日本新聞 社会面 村田 直隆 梅沢 平 中村 太郎

 蒲島郁夫熊本県知事による19日の川辺川へのダム建設容認表明を、球磨川流域の住民らはさまざまな思いで受け止めた。豪雨から4カ月余り。治水効果に期待する一方で「流水型ダムでも清流は守れない」と批判も。再び地域の分断を招かないか心配する声も聞かれた。

 「住民の命を守るためには、ダム建設はやむを得ない。良い決断だった」。ダム治水の最大受益地とされる人吉市。自宅が浸水した中村良郎さん(73)は「復興に向けスピード感を持って動きだしてほしい」と前向きに捉えた。

 葉タバコ畑が被災したあさぎり町の農業岩本道男さん(60)も「少なくとも避難できる時間は稼げ、下流域の被害軽減が期待される」と賛成。ただ、早急に行う治水策として知事が示した遊水地に対しては「町内は優良農地ばかり。後継者も多く農家の理解を得られない」と警戒する。

 球磨村の自宅が2階まで浸水し、村内の仮設住宅で暮らす上蔀忠成さん(46)はダム建設には反対しない。ただ、集落再建を優先すべきだとの考えで「宅地のかさ上げなど被災者の生活再建、すぐ避難できる安全な場所の確保が先だ」と強調した。

 流域12市町村長は、人吉市と相良村を除いてダム容認の姿勢だが、反発する住民もいる。蒲島氏がダム計画の白紙撤回を表明した翌2009年、専業漁師に転身した相良村の田副雄一さん(50)は「治水ダムでも環境面のデメリットの方が大きいと訴えてきただけに残念。川辺川の水質保全は難しい」。住民団体「7・4球磨川流域豪雨被災者・賛同者の会」の鳥飼香代子共同代表(72)=人吉市=も「球磨川の生態系を実験台にするつもりか」と憤る。

 「民意の集積が足りず、賛成、反対派の対立が心配」と話すのは、同市の自宅1階が水没した林通親さん(71)。「ダムを造れば長い間取り壊せない。知事はもっと時間をかけて結論を出すべきだ」と言った。

(村田直隆、梅沢平、中村太郎)

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