EVつないで太陽光発電を蓄電 東大発スタートアップが八女で実証実験

西日本新聞 九州経済面 丹村 智子

 東大発スタートアップ企業の「Yanekara(ヤネカラ)」=東京=が、複数の電気自動車(EV)を太陽光発電の蓄電池として活用するための事業所向け制御システムを開発。福岡県八女市で実証実験に乗り出している。人工知能(AI)で充電と放電を自動制御することで、自家消費率アップやコスト削減につなげる。

 太陽光発電を安定的に運用するには、昼に発電した電気をためる大型蓄電池が不可欠だが、ヤネカラのシステムでは複数のEVをつなぐ。さらに現状では手動で行う充放電の切り替えを一括で自動制御できるのも特徴だ。事業所の電力需要、EVの走行予定などを入力すれば、天候による発電量の変化も踏まえながらAIが自動で切り替える。

 システムを開発したのは東大工学部4年の松藤圭亮さん(21)=福岡市出身=ら20代の3人。素案は昨夏、東大のビジネスコンペで入賞。独創的なIT起業家を支援する経済産業省所管の「未踏アドバンスト事業」に選定され、1千万円の支援を受けている。

 国内で最も売れている日産のEV「リーフ」の場合、充電池の容量は産業用蓄電池に匹敵する40キロワット時で、1台で小規模オフィスの電力も賄える。ヤネカラが平均7台の業務用車を所有する全国655事業所の運行履歴を調べたところ、7割の事業所で最低1台は事業所に残っていたことから実用化を決めた。

 実証実験は9月末に開始。協力するのは八女市の太陽光発電事業者「アズマ」で、太陽光パネルとEV2台を用いて半年間のデータ収集を行う。

 ヤネカラはこの制御システムで、実験前に6割だったアズマの太陽光発電の自家消費率を9割まで高められると見込む。経産省によると、家庭に太陽光パネルを設置した場合の自家消費率は通常3割程度で、残りは電力会社に販売する。売電価格は低下しており、電気代節約につながる自家消費率を向上させることで、再生可能エネルギーの利用拡大につなげたい考えだ。

 (丹村智子)

電気自動車(EV)の蓄電池利用】日中発電した太陽光電力の余りをEVに充電し、走行にも使う一方、夜間や悪天候時はEVから事業所に放電する。こうした試みは東京電力、九州電力など国内外の企業が開発を急ぐ。ただ、EV1台に電気を蓄えるだけでは足りず、コストが高い大型蓄電池を併用するのが主流。リーフは政府補助を申請すれば約290万円で購入できるが、同容量の事業所向け蓄電池は約800万円程度する。

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ