「筑前茜染め」復活を 文化伝承、特産品ブランド化目指す 飯塚市

西日本新聞 筑豊版 中川 次郎

 福岡県飯塚市の筑穂地区に伝わり、幕末に国内で初めて日の丸を染めたとされる「筑前茜(あかね)染め」。化学染料の普及などで衰退したが「伝統文化の復活を」と、市民らが筑前茜染協議会設立準備委員会を発足させ、染料となる多年草「アカネ」の栽培や染め付け体験を行っている。茜染めの復活は、市も地方創生の柱となる市総合戦略の一事業として位置づける。協議会は今年中に発足する予定で、市民と行政が協同し、特産品としてブランド化を目指す。

 18日午後、同市山口の人工芝スキー場「サンビレッジ茜」に準備委や地元住民ら約20人が集まった。準備委のメンバーが栽培し、乾燥させたアカネの根をお湯に入れて濾過(ろか)した後、布をつけ込むと、約20分で茜色に染まった。

 準備会の芳野安則さん(71)は以前、住民でつくる「筑前茜染保存会」に所属しており、「久しぶりだがきれいに染まった。再び茜染めが根付いてほしい」と話した。

 江戸時代末期、鹿児島藩主の島津斉彬が、幕府に日本の「総船印」として日の丸を建議したが、同藩には赤色に染める技術がなかったため、縁戚関係にあった福岡藩主の黒田長溥に依頼。領内の穂波郡山口村の茜屋地区で行われていた茜染めを用い、日の丸を染めたとの言い伝えがある。

 茜染めは明治期、化学染料が広まったことなどで下火に。合併前の旧筑穂町では、商工会や保存会が技術を活用し、ハンカチやふろしきなどを作っていたが、自生するアカネが少なくなったことや後継者不足で、継続的な活動ができなくなっていた。

 ここ数年、住民が「子どもに文化を伝えたい」とアカネの栽培を手掛けていた。市は地域活性化につながると、茜染め活用事業を「第2次飯塚市まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2020年度~24年度)に盛り込んだほか、本年度予算に事業費約200万円を計上。6月に市民、市商工観光課、飯塚観光協会が設立準備会を結成した。

 これまでにアカネの挿し芽の実技があり、参加者はポットに植えて、自宅で栽培。10月には育てたアカネをサンビレッジ茜に持ち寄り、周辺の山地に苗を植えた。今後、栽培面積を広げていく。

 協議会発足後、児童らに茜染めの歴史を伝え、染め付けを体験してもらうほか、将来的には特産品の開発に取り組む。準備委の委員長を務めるサンビレッジ茜の森本精造理事長(79)は「サンビレッジを拠点にここにくれば茜染めが学べて、体験できる仕組みを作りたい。みんなと協力して復活を目指す」と話している。

(中川次郎)

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