「旅一座の夢舞台」半世紀で幕 糸島市の旅館、大衆演劇にコロナ余波

西日本新聞 ふくおか都市圏版 竹森 太一

 福岡県糸島市で半世紀にわたり、大衆演劇の舞台としてファンと役者に愛されてきた初潮(はつしお)旅館(同市二丈鹿家)が29日、公演中の一座を最後にステージの幕を下ろす。新型コロナウイルスの影響で来場者の柱だった団体客がストップ。緊急事態宣言の解除後は感染防止に気を配りながら公演を続けていたが、苦渋の判断を強いられた。旅館営業は続け、ジャズ公演などの新たな“おもてなし”を模索する。

 佐賀県境に近い、浜辺の国道沿いに立つ旅館は1956年開業。芸能好きだった先々代の創業者が、10年ほどたって大衆演劇の一座を招くようになった。

 春(2~6月)と秋(9~11月)の8カ月間、大広間が“劇場”となり、「旅一座」が寝泊まりしながら芝居と舞踊ショーを披露。旅館自慢の会席料理なども楽しめ、常連客にとっては「憩いの場」だった。

 ただ、来場者の中心は高齢者で、コロナ禍の中、今年3月から約3カ月間、休演した。夏季の「海の家」の営業を経て、9月に始まった「劇団梓(あずさ)」の公演では、100人が入る大広間で座席を22席に限定。入館時の検温や手指消毒のほか換気も徹底し、ファンが楽しみにしている幕あいや終了後の一座との触れ合いも自粛してきた。

 さまざまな制約の中で劇団を預かる形で公演を重ねてきたが、「区切りを付けることにした」と女将(おかみ)の宇治川由美さん(46)。大衆演劇の普及に努めてきた自負はあるが「一つの時代が終わった」。

 当面は「Go To トラベル」にも対応している宿泊客を受け入れながら、ジャズ公演「海音ジャズ」(12月12、26、27日ほか)なども企画。宇治川さんは「これから何が提供できるのか。お客様にゆっくり過ごしてもらう中で声を聞いていきたい」と話している。初潮旅館=(0120)824015。 (竹森太一)

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