火野葦平の葛藤たどる 手記や未公開資料など200点 北九州市立文学館

西日本新聞 北九州版 白波 宏野

 若松出身の芥川賞作家火野葦平(1906~60)の没後60年に合わせた企画展「火野葦平展」が21日、北九州市立文学館(小倉北区)で始まった。時代に翻弄(ほんろう)された火野の生涯やその葛藤を、未公開資料を含む約200点の手記や原稿でたどる。2月14日まで。

 企画展の副題は「レッテルはかなしからずや」。従軍中に芥川賞を受賞し、戦場の兵士の日常を描いた「兵隊三部作」で人気作家になった火野が、自身の「レッテル」に戸惑う複雑な心境をつづった色紙から引用した。

 展示は、若松での生い立ちや学生時代▽従軍から公職追放まで▽追放解除から自殺まで-の三部構成で、それぞれの時代の手記や書簡が並ぶ。当時の写真や火野が直面する時代背景などの解説パネルもある。

 初公開資料として、火野が自殺する4カ月前の心境をつづった原稿用紙や、18歳の時に出版社に持ち込むも返送されたという子ども向け作品「鵯(ヒヨドリ)の日記」などを展示。火野とともにインパール作戦に従軍した画家向井潤吉さん(1901~95)が戦後、火野に送った油絵も見られる。

 ペンネームの由来や芥川賞正賞の時計の行方など「豆知識」コーナーも充実する。火野とインパール作戦に同行し、NHK連続ドラマ「エール」で注目を集める作曲家古関裕而さん(1909~89)が火野と作った北九州一帯の校歌についても紹介している。

 午前9時半~午後6時(月曜休館、祝日の場合は翌日)。料金は一般500円、中高生120円、小学生60円。火野葦平資料の会の坂口博会長や増田周子関西大学教授による講座もある。同館=093(571)1505。 (白波宏野)

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