大分・津久見に息づく バッタリ漁 勘研ぎ澄まし「イカの王様」捕獲

西日本新聞 大分・日田玖珠版 稲田 二郎

 大分県津久見市に独自に息づく伝統の漁がある。バッタリ漁。甘みなどから「イカの王様」とも言われる高級食材のモイカ(アオリイカ)を傷つけずに取る手法で、魚群探知機などを使わず「行き当たりばったり」で行うことから、そう名付けられたと伝わる。漁は9月から3月末まで行い、モイカが旬を迎える11月から本格化している。

 津久見近海は石灰石の鉱山から流れ出るミネラル豊富な山水によって豊かな藻場が育まれており、モイカの繁殖地となっている。他地域では深瀬にいることが多いが、津久見近海では岸付近にも藻場があり、浅瀬にも生息している。

 バッタリ漁は岸近くで、船を動かして円を描くように網を張ってモイカを閉じ込めて取る網漁。定置網よりモイカを傷つけることが少なく、津久見市四浦の深良津地区を中心に行われてきた。網が強靱(きょうじん)になった戦後に盛んになったという。

 漁師13人で作る「バッタリ協議会」の漁師山尾会長(70)=同市四浦=はこの道50年。10月28日に漁に出た山尾さんは船を岸近くに寄せ、ゆっくりと動かしながら、浮きのついた幅約100メートル、深さ最大20メートルの網をするすると流した。円を描くように船を動かして網の端と端を引き上げ、両端から交互に回収。網の中央部を最後に引き上げると、生きのいいモイカやアジが入っていた。

 「魚群探知機やら使いよったら、その間に逃げられてしまうからね」。天候や海の状況などを見て、漁師の勘で行うバッタリ漁。早朝から場所を代えながら1日に5回ほど網を張るという。「水揚げはだんだん減ってきた。今年も少し軽い(少ない)気がするね」

 県漁協津久見支店によると、2019年度のモイカの水揚げ量は津久見市全体で7・5トン。平年並みや不漁などを繰り返しながら、徐々に減っているという。協議会の漁師も40~70代と高齢化が進んでおり、バッタリ漁が受け継がれていくか、山尾さんは心配している。 (稲田二郎)

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