陶磁器の枠を超え創造「清山」創業者の瀬井さん 長崎・波佐見町

西日本新聞 長崎・佐世保版 岩佐 遼介

 長崎県波佐見町に窯元「清山」を構え、特許技術を活用した商品を生み出してきた。社長を引退してからも創作意欲は衰えない。

 代表作は「キーポ」と呼ばれる二重構造の陶磁器。グラスに熱湯を注いでも手に持てる優れ物で、売り上げの8割を占める。日本で初めて開発した陶製ネジキャップは、2013年に経済産業省のものづくり日本大賞で優秀賞に選ばれた。

 「女性を口説き落とした時を上回るほどの喜びがある」。思い描いていた物が完成すると、そうした感情が自然と湧き上がるという。

 陶製ネジキャップの開発には10年近い歳月を要した。ネジとキャップの型を作るには、らせん状の溝をマイクロメートル単位で調整しながら彫る必要がある。焼き上がると、生地が収縮し、ネジとキャップがなかなか合わない。「使い捨てが多い瓶や缶に代わる陶磁器」。そんな30年後の将来を思い浮かべながら微調整を繰り返した。

 熊本県高森町出身。勉強はしなかったが、美術の成績は常に優秀だった。「得意なことを仕事にするのが人生の基本戦略」と、中学を卒業して岐阜県の食器製造会社に就職。10年以上勤めて管理職になったが「自分の手で一から食器を製造したい」と創業を決意した。

 創業の地を探して全国を行脚する中で「よそ者を受け入れる人情味がある」と、1976年に波佐見町で陶磁器生地業を創業。5年ほどかけてためた資金で窯などを整備し、念願の窯元となった。

 10年ほど前に社長を長男に譲り、ゴルフや自宅裏の山に紅葉、山桜を植える日々を送る。その傍らで5年前から作っていた陶磁器製のクラシックカー(模型)がついに完成した。重さ約1・5キロ。緻密に再現したシャフトなどの部品約30点を組み合わせた。「同じ物を販売して続く会社はないからね」。インテリアやボトルキーパー用に販売する。 (岩佐遼介)

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