アフガンに緑「学び、思い継ぐ…」中村哲さんに共感広がる

西日本新聞 社会面 中原 興平

 アフガニスタンで用水路建設を行う福岡市の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」現地代表の中村哲医師が昨年12月に亡くなってから間もなく1年。その生き方を知り、思いを継ごうとする動きが広がっている。

 「医師なのになぜ、用水路を掘ったのかな」。12日、福岡市の春吉小6年1組。武内厳太教諭(32)が問いかけると、次々と子どもたちの手が挙がった。「百の診療所より一本の用水路を、と言っていました」「平和と関係があると思う」

 中村さんの活動は「地球規模の課題の解決と国際協力」の例として社会の教科書に掲載され、クラスでは10月から学んでいる。同会スタッフの話を聞き、会報や新聞記事で活動を調べた上で意見を発表し、作文にまとめる。計8時間を費やす計画だ。

 凶弾に倒れた後の報道で中村さんの活動を詳しく知ったという武内教諭。「中村さんの生涯は学びの宝庫。今後も子どもたちに教えていきたい」と話す。

 2015年度から教科書に取り上げている「教育出版」(東京)によると、死後に「より深く教えたい」との相談が各地の教師から寄せられるようになったという。

 福岡市中央図書館は9月、中村さんやアフガンに関連する書籍の常設展示コーナーを設けた。訃報直後に著書の予約や問い合わせが殺到したことを受け、井上里美副分館長(57)らが発案。図書館ボランティアらと出版元に問い合わせたり、古書の販売サイトを探したりして、関連記事を掲載した雑誌も集めた。中村さんが活動初期に「中沢鉄平」のペンネームで雑誌に寄せた報告など、珍しい一文も読むことができる。現在は約100タイトルが並ぶ。

 同会の会員になった井上さんは「何かせずにはいられない気持ちに突き動かされた」。今後は中村さんが読んだ書籍を集めたいという。

 中村さんの衝撃的な死は国内外で大きく報じられた。昨年度に寄せられた会費や寄付金は過去2番目に多い約4億5500万円。今もスタッフの講演や写真展の開催依頼が全国から寄せられている。

 村上優会長(71)は23日に開いた追悼の会で「先生が尊い犠牲になられたからこそ、事業が広く知られ、支援の輪が広がっている」と述べ、中村さんの長女秋子さん(40)も「事業が続いていくことは私たち家族の願いでもあります」と話した。 (中原興平)

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