ICT体験学習と融合 人材育成へ指針づくり 大分・玖珠町

西日本新聞 大分・日田玖珠版 吉田 賢治

 小中学生に1人1台のパソコンを配備する国の「GIGAスクール」構想で、大分県玖珠町教育委員会が、地域の自然や人々と情報通信技術(ICT)を融合させた体験的な学習の実現に向けたガイドライン作りを進めている。「将来の町の課題解決を担う人材育成のチャンス」と位置づけ、学校関係者だけでなく住民も巻き込んだ有識者会議を設置。町を挙げて指針作成に挑む先駆的な取り組みだ。

 新型コロナウイルスの感染防止対策の一環で、パソコン配備は全国的に前倒しされているが、玖珠町では一足早く児童生徒と教職員への全1150台は配備済みで、11月中には各校での通信施設整備も完了する。一方で同構想では、遠隔・オンライン学習以外に「パソコン端末を授業にどう使うか」というソフト面の充実が課題になっている。

 ソフト面は教育関連業者なども開発しているが、「子どもたちの価値観や倫理観は、家族や学校など地域社会のコミュニティーから育まれる」と考える町教委は、ICT授業でも地域に根ざした教育が重要と判断。独自の指針作りに取り組むことにしたという。

 作成にかかわる有識者会議は、四つのワーキンググループに分かれ、このうち「自然」「郷土」「地域」の3グループのメンバーはユニークだ。地元の観光協会役員、緑の少年団指導者、ドローン操縦士、演劇指導者、商工会経営指導員、農家民泊経営者など多彩な顔ぶれの約20人で構成。町教委は「例えば自然観察や郷土の産業といった小学生が体験学習などを通じて学ぶ項目を、ICT授業にどう落とし込むか。地元で活躍する人々の知恵を借りたい」としている。

 もう一つの「ICT」グループは、パソコンの活用策を総合的に探るのが目的で、各校の教員を中心に約20人で構成している。

 10月末の第1回会合では、元グーグル米国本社副社長の村上憲郎氏が基調講演し「グローバル時代を生き抜くには、問題そのものを発見し、考え抜く教育が重要」などと指摘した。その後、グループごとの最初の討議を始めた。今後も数回の会合を重ね、ICTを活用した体験学習などをパイロット校で実証実験を行い、2021年度中のガイドライン策定を目指す。

 梶原敏明教育長は「先の見えない時代でも、地域の魅力を知ることは世界を知ることにつながり、生きる力になる。ICTと融和した五感を使ったリアルな体験により、地域に残る子どもも増やしたい」と話している。 (吉田賢治)

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