独自の揮毫「力強く大胆」 ダウン症の安田さん受賞 障害者芸術祭

西日本新聞 北九州版 壇 知里

 ダウン症の安田尚史さん(22)=北九州市戸畑区=が24日、第13回北九州市障害者芸術祭で実行委員長賞に選ばれた。中国の思想家・老子の「道法自然(道は自然に従うもの)」という言葉を力強く揮毫し、評価された。16歳の時、小倉北区の書道教室「和楽書院」で栗原光峯(こうほう)主宰(56)から手ほどきを受け、みるみる上達。20歳で初の個展を開き、その後も新たな成長を見せてきた。栗原さんは「今後どう進化するか楽しみだ」と期待を寄せる。

 安田さんの書は、独創的で躍動感があるのが特徴だ。今回の受賞作について、芸術祭の高山多美子実行委員長は「力強さと大胆さに引きつけられる」と講評。栗原さんは「にじみとかすれ、動と静など良い書の条件が整っている」と評価した。

 今回は準備に2カ月かけた。普段から漢文や詩歌などの名句をまとめた書道の参考書から気に入った言葉を選んで創作する。言葉の意味は理解できないが、形などから感性で選ぶ。週1回通う教室で1日10枚ほど書きながら、老子の「道法自然」に行き着いた。

 創作の際には好きな音楽をかける。6歳の頃から習うヒップホップでリズムに乗り、踊りながら書く。書道パフォーマーでもある栗原さんは「体のリズムとともに書くので線が躍動し、途切れがない力強さがある。私もたまに彼の動きを取り入れさせてもらっている」と話す。

 一般的に、ダウン症の人は筆圧の出にくさが課題とされる。今回は柔らかい筆を使うことで、力を込めやすくなり、線に深みと立体感が出るようになった。母の里香さん(61)は「できることが限られている中でも、彼の人生に楽しい思い出をたくさん作ってほしい。10年後、20年後、また個展を開いてくれたら」と受賞を喜んだ。

 芸術祭の出品作品は29日まで、市立美術館黒崎市民ギャラリー(八幡西区)で展示する。入場無料。 (壇知里)

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