強肩「甲斐キャノン」 苦悩の突破口は城島に学んだ「動じない心」

西日本新聞 総合面 山田 孝人

 押しも押されもせぬ扇の要だ。巧みなリードで巨人打線を封じ込め、打っては2本塁打。2年連続の日本シリーズ4連勝で、チームを再び頂点に導いた。故野村克也氏の背番号19を今季からつけた28歳がナインと歓喜に浸った。

 1軍に定着した2017年から着実に出場数は増えた。強肩「甲斐キャノン」を武器に18年の日本シリーズで最高殊勲選手。それでも「自分は正捕手だとは思っていない」とたびたび口にした。過去に経験したリーグ優勝、日本一の瞬間にいた場所はいずれもベンチ。試合終盤の重要な局面でベテラン高谷裕亮選手と交代することが多かった。

 転機があった。本塁打を浴びることが増え黒星がかさんだ7月初旬。ふさぎ込む日々の中、城島健司球団会長付特別アドバイザーと話す機会があった。「おまえの悩みを言ってみろ」。心中を吐露すると「それはレギュラーの悩みだからそれでいい。でも、試合の時は一切切り替えろ」と痛打された配球についても肯定された。求められたのは常に動じることなく、次打者を迎えることの重要さ。球史に残る名捕手からのアドバイスが「それでいいんですね」と胸に落ちた瞬間だった。

 レギュラーシーズン終盤からほぼ一人でマスクをかぶった。3年ぶりのリーグ優勝の瞬間もグラウンドにいた。悩むことは今もあるが、今回のシリーズ前には「わくわくしている」とも口にした。育成選手として入団して10年目。故郷九州で白球を追い続け、本当の意味で「正捕手」となった男がこの先も常勝チームを支える。大分県出身。妻と1男。 (山田孝人)

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