日中、五輪成功へ連携確認 首相と王氏会談 難題は棚上げ

西日本新聞 総合面 古川 幸太郎 前田 倫之

 菅義偉首相は25日、来日中の中国の王毅国務委員兼外相と官邸で会談。新型コロナウイルス対策や経済・人的交流の強化では足並みをそろえる一方、日本国内に反対論が根強い習近平国家主席の国賓来日は触れずに棚上げした。王氏は、「親中派」で習氏の早期来日に前向きな自民党の二階俊博幹事長とも面会。首相は「対中」と、後ろ盾を頼る身内のはざまで神経を使うことになりそうだ。

 9月に就任後、中国要人との初会談に臨んだ首相は「日中の安定した関係は両国のみならず、地域、国際社会にとって重要だ。共に責任を果たしていきたい」と呼び掛けた。

 これに王氏は呼応し、ウイルス対策での協力や来夏の東京五輪・パラリンピック開催を支持するとした習氏のメッセージを伝達。首相と王氏は、東京五輪、2022年の北京冬季五輪の成功に向けて連携することなどを確認し合った。

 中国公船が繰り返し、沖縄県・尖閣諸島周辺を航行している事態を巡っては、首相が改めて懸念を伝えた。会談後、王氏は記者団に「この問題が日中両国の発展に影響しないように取り組みたい」と述べた。

 軍事、経済両面で米国と対峙(たいじ)する現状を前提とした上で、日本に関係改善の秋波を送っている中国。首相との「橋渡し」を、二階氏に期待しているのは明らかだ。安倍晋三前政権では外交に口を挟むことは少なかったが、外交筋は「二階氏を今後、動かしていくことが王氏の訪日の狙いだろう」と読む。両氏のこの日の話し合いは約1時間に及んだ。

 最大の難題が、宙に浮いた習氏国賓来日の扱いとなるのは間違いない。

 繰り返される領海侵入や香港情勢などを受け、保守層を中心に反中感情は高まっており、日本側としては「招待は生きているが、今はとても議論できるタイミングではない」(外務省幹部)。一方で、政権内で首相を後見する二階氏は12日のテレビ番組で「(中国側が)希望されるならば、どうぞおいでくださいということだ」と話している。

 日米同盟を基軸に、中国との適切な距離感を探っていきたい首相にとって、二階氏の存在が“アキレス腱(けん)”となる恐れもある。 (古川幸太郎、前田倫之)

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