養鶏王国九州に鳥インフル「ついに来たか」 防疫徹底へ動き加速

西日本新聞 社会面 床波 昌雄

 「ついに来たか-」。九州では今季初となる鳥インフルエンザが福岡県で確認された25日、九州の行政機関や養鶏関係者は防疫態勢の強化を再確認するなど警戒を高め、現場となった宗像市の養鶏場では早朝から慌ただしく消毒作業や殺処分が始まった。

 九州は宮崎、鹿児島県のブロイラー飼育数が全国有数の「養鶏王国」。福岡県宗像市での感染発生を受け、各県や養鶏業者は防疫態勢の徹底を再確認。越冬のため日本に飛来する野鳥が増える初冬はウイルスが広がりやすく、緊張が高まった。

 福岡県内の養鶏会社の社長は「ついに出たか、という印象だ」。ここ数年、野鳥の鳥インフル感染が相次いでおり、警戒していたという。養鶏場の敷地に消毒用の消石灰を散布したり、出入りする車両や人を消毒したり、業界が示すガイドラインに沿って対策をしている。「発生するとわれわれは県に届け出て、決められた方針に従うしかない。これ以上、感染が広がらないように早急に対応してもらいたい」と話した。約2万羽の鶏を飼育している長崎県島原市の養鶏場では、鶏舎4棟に防鳥ネットを張り、消石灰をまいて消毒に努めてきた。経営する男性(50)は「何としても水際で食い止めなければいけない。こうした取り組みをひとつひとつ徹底していくしかない」と話した。

 宗像市と同じく九州北岸の北九州市は、庁内会議で感染が確認された際の対応を確認し、市内の5養鶏場に防鳥ネット確認や消毒徹底を呼び掛けた。佐賀、長崎、熊本、大分県は緊急の会議を開催。養鶏場への消石灰配布などを急いだ。

 畜産統計によると、ブロイラーの飼育数(2019年)は宮崎、鹿児島県ともに約2800万羽で都道府県別で1、2位。宮崎県養鶏協会(宮崎市)は25日、以前から予定していた会員向け鳥インフル対策研修会をオンライン方式で開き、野生動物の鶏舎への侵入防止など対策徹底を改めて呼び掛けた。古沢邦夫専務理事は「このタイミングで九州に感染例が出るとは。宮崎に迫っていると感じる。業者もピリピリしている」と話した。

緊迫する福岡「怖い」

 鳥インフルエンザの陽性が確認された福岡県宗像市の養鶏場周辺では25日、養鶏場に通じる道路に消石灰がまかれて立ち入り禁止となり、県職員らが鶏の殺処分や袋詰めの作業に追われた。

 発生養鶏場には、同日未明から県職員が集まり、殺処分の準備に着手。入り口の道路では防護服に長靴の職員が資材を運び入れる車両を入念に消毒していた。

 近所の農業男性によると、養鶏場には約10棟の鶏舎があり、各鶏舎には肉用鶏が約8千~9千羽平飼いされていたという。男性は「身近な場所での発生はやはり怖い。処分される鶏もかわいそうだ」と話していた。

 近くの消毒ポイントでは、県職員が午前5時から作業を開始。防護服姿の数人が消毒用のマットを道路に敷き、車両の通行でマットが乾くと、バケツで消毒液を振りかけていた。

 近隣の養鶏場の関係者は「人ごととは思えない出来事。年間を通じて防疫には力を入れているが、今後は出入りする車両の消毒を徹底したい」と気を引き締めていた。 (床波昌雄)

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