恵楓園に胎児慰霊碑 ハンセン病堕胎強制「過ち忘れない」
熊本県合志市の国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」に、旧優生保護法(1948~96年)下で堕胎された命を弔い、過ちを後世に伝える慰霊碑が建立され、26日、園関係者十数人が出席して除幕式が開かれた。
厚生労働省の第三者機関「ハンセン病問題に関する検証会議」は2005年、療養所5カ所に胎児や新生児の標本が残されていたなどとする報告書を公表。その後、各地の療養所で慰霊碑設置が進められた。
恵楓園入所者自治会によると、同園では「標本を見た」という入所者の証言はあるが、資料が見つかっていないことなどから設置が見送られていた。しかし、入所者の高齢化を考慮して建立されたという。
園内の納骨堂そばに建てられた慰霊碑は高さ約2メートル。生まれることができなかった子どもに対する親の思いをつづった「あなたへ」と題した詩が、石碑横のプレートに掲示された。園によると、1953年以降に約100件の強制不妊手術が行われたという。式典後、記者会見した入所者自治会の志村康会長(87)は「人の命が虫けらのように扱われた事実を忘れないでほしい」と強調。箕田誠司園長は「強制的に堕胎させられ、罪悪感を持っている方の心が少しでも安らげばと思う」と述べた。
(綾部庸介)