「自分が怖くなった」性依存症の苦悩…犯罪減へ全国初の試み

西日本新聞 くらし面 川口 史帆

 福岡県は今年5月、性暴力の加害者や自身の性的な問題行動で悩む人を対象とする「性暴力加害者相談窓口」を開設した。性犯罪で刑事処分を受けた人の相談窓口は大阪府にもあるが、犯罪の有無にかかわらず相談に応じるのは全国で初めて。被害者を減らすために加害者となるのを防ぐ「画期的な試み」だという。

 窓口は今年全面施行された県の性暴力根絶条例に基づく施策の一つ。対象は年齢や性別を問わず内容が違法行為でも相談に応じる。場所は非公開で、相談者には予約時に知らせる。この半年で、自ら性犯罪を思いとどまりたい人や不倫関係に悩む人など30人から問い合わせや相談があった。

 まず精神保健福祉士が聞き取り、臨床心理士や臨床発達心理士、精神科医を交えた「ケース会議」で対応を協議。多くは臨床心理士らによるカウンセリングを行うが、症状が重い場合などは医療機関や民間の支援施設を紹介する。

 カウンセリングは週1回程度から始め、半年から1年間をめどに継続する。臨床発達心理士の大黒剛さん(49)によると、性暴力や問題行動の背景には「親子関係の不全など幼い頃の心の傷や強いストレス体験がある」。幼少期までさかのぼって精神状態をひもときながら、問題行動が何に起因し、どんなときに起こるのかを探る。対人関係を円滑にする訓練「ソーシャルスキルトレーニング」や、健全な思考や習慣を身につける認知行動療法に取り組む。

 窓口による支援やカウンセリングは無料。さらに福岡県では通常は保険適用されない性依存症の治療も、医師が必要と認めた場合は3回の受診まで県が全額負担するほか、早期に投薬治療などが必要な「高リスク」と判断されれば医療費の7割を補助する。

 福井裕輝・性障害専門医療センター代表理事は「性依存症は精神科でも門前払いされることが多く、適切な支援や治療につながる人は少ない」と指摘。性暴力の被害者を減らすために「加害者や依存症を抱える人への支援をもっと手厚くする必要がある」と話した。 (川口史帆)

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