首相提案「マスク会食」不評 「着脱難しい」「酔ったら無理」

 ≪静かなマスク会食≫。菅義偉首相が、新型コロナウイルス感染症対策として提案したキャッチフレーズに戸惑いが広がっている。専門家組織である政府の分科会の「お墨付き」がある半面、ネット上や専門家からは「現実的に難しい」と疑問視する声も上がる。

 26日朝。首相は官邸近くのホテルのレストランで、政治ジャーナリストの田崎史郎氏と会食。2人は席の間隔を開け、会話中はマスクを着用し“新しい会食マナー”を率先垂範した。

 首相が静かなマスク会食を国民に呼び掛けたのは、全国の新型コロナ感染者数が最多となった19日。もともとは11月に入り、分科会の尾身茂会長が感染リスクを抑えながら会食を楽しむ方法として紹介。目を付けた首相が命名し、打ち上げたとされる。

 政府高官は「キャッチーな言葉。分かりやすい」と自賛するが、実際には苦肉の策の面が強い。人の移動や会食の機会を極力制限せず、観光・外食産業の下支えを継続しながら、国民が取り組みやすい新たな感染抑止策を示す、しかも予算を掛けずに―。こんな連立方程式を解くのは容易なことではないからだ。

 「他に打つ手はないのか」「着けたり外したり、難しい」「マスクしてまで会食したくない」「酔ったら無理」…。流行の「第3波」が深刻化する中、ネット上での評判は芳しいとは言えない。

 感染症に詳しい沖縄県立中部病院の高山義浩医師は「いや、総理ちがいます。飲食店のマスク着用などザルですよ」とフェイスブックに投稿し、「いいね」のコメントが集まった。長野保健医療大の塚田ゆみ子助教(公衆衛生看護)は「会食中にマスクの着脱を繰り返すと、マスクの外側に付着したウイルスが内側に付く恐れがある」と指摘。「料理が来たら黙々と楽しみ、終わればマスクをして会話をする。これを徹底しないと逆に感染リスクが高まる」と心配する。

 安倍晋三前首相が採用し、政権支持率低下につながった「アベノマスク」を想起させるとの受け止めもあるが、今回の≪マスク≫の成否はどう出るか。

 (前田倫之)

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