中村哲さんの絵本、命日に出版 アフガンで制作、さださん翻訳

西日本新聞 社会面 井崎 圭

 アフガニスタンで用水路建設や医療活動を続け、昨年12月4日に凶弾に倒れた中村哲医師を描いた絵本が命日に出版される。現地の非政府組織(NGO)が中村さんの功績を伝えようと出版した作品の日本語版。シンガー・ソングライターのさだまさしさんが翻訳に関わった。絵本の原作を担当したザビ・マハディさん(32)は「中村さんは英雄。その理念と私たちの感謝が日本に伝わる機会になれば」と願っている。

 マハディさんは2016年にNGO「ガフワラ」を設立し、各国の絵本を翻訳してアフガンの学校に配っている。来日時に講演を聞いて以来、中村さんを尊敬していたマハディさん。没後の今年5、6月に、現地語で「中村のおじさん」を意味する「カカ・ムラド」を冠した絵本を2冊相次ぎ刊行した。戦乱が続いてきたアフガンでは多くの子どもが軍人に憧れているといい「武器を持たずに人々を助けたヒーロー像を知ってほしい」と考えた。

 1冊目は病気の背景に干ばつがあると知った中村さんが苦闘しながら用水路建設に挑む内容。2冊目は中村さんが男の子に「知恵」と「優しさ」で人を幸せにする方法を教えるファンタジー作品だ。制作費は、神戸市の通販会社「フェリシモ」が紛争地の子どもの支援を目的に設立した基金から提供された。

 日本語版は、同社と出版社「双葉社」(東京)が企画し、2冊の内容を1冊に収めた。中村さんを追悼する歌「ひと粒の麦~Moment~」を作ったさださんに、ファンタジー作品の翻訳の一部を依頼した。日本語に訳された文章を、さださんなりの表現で書き直してもらったという。

 マハディさんは「日本の著名な方も関わってくださり光栄。他者のため困難に立ち向かう大人を、多くの子どもたちが目指してくれればうれしい」と話している。80ページ、1650円。売り上げの一部は、ガフワラと、中村さんと共に活動してきた福岡市のNGO「ペシャワール会」に寄付される。 (井崎圭)

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