鳥インフル拡大 九州全域で警戒を強めよ

西日本新聞 オピニオン面

 福岡県宗像市の養鶏場で高病原性の鳥インフルエンザウイルスが確認された。福岡県内で初めてとあって、地元の養鶏関係者に衝撃が広がっている。

 九州では4季ぶりだが国内各地で確認が相次いでおり、九州全域で警戒を強めるべきだ。

 このウイルスはカモなどの渡り鳥が日本に持ち込むと考えられている。感染発生のリスクはどこにでもある。前例のない地域でも油断禁物なのは、宗像市の例が雄弁に物語る。

 九州は「養鶏王国」と呼ばれており、特に宮崎、鹿児島両県は全国有数のブロイラー飼育数を誇る。宮崎県内では2010年度に鳥インフルが発生し、約100万羽を殺処分する事態に至った。16年度の冬にも南九州や熊本、佐賀などに広がり、甚大な被害をもたらしている。

 福岡県は直ちに宗像市の養鶏場で殺処分を行い、周辺養鶏場からの鶏の移動制限や主要道路での関係車両の消毒といった防疫措置を取った。初動対策を迅速かつ徹底的に実施し、感染を封じ込めることが肝要だ。

 鳥インフルは今季、欧州で感染が広がり、10月以降は北海道や韓国で野鳥のふんからウイルスが検出された。農林水産省は「野鳥がウイルスを持つ可能性が高い」と警告していた。国内で最初にウイルスが見つかったのは香川県で、複数の養鶏場に広がっている。

 野鳥のふんや死骸に触れたネズミなどの小動物が農場にウイルスを運び込む恐れもある。過去に鳥インフルの被害を受けた鶏舎では金網の破損が確認されたケースがある。鶏舎や防鳥ネットの点検を急いでほしい。

 香川県では養鶏場周辺にある農業用水用ため池に集まる野鳥がウイルスを運んだ可能性が指摘されている。新潟県の湖の水からもウイルスが見つかった。ツルの飛来地で有名な鹿児島県出水市では今月、ツルのねぐらで採取した水からウイルスが検出されている。

 野鳥が集まりやすい場所で鳥の死骸などの観察を強化するとともに、ウイルスが検出された場合は付近一帯の消毒に取り組む必要がある。ウイルスは車や人に付着して広がることもあり得る。鶏舎だけでなく、養鶏場に出入りする車両の消毒を徹底することも必要だ。

 鶏肉や鶏卵を食べたことによって人にウイルスが感染したという事例は確認されていない。感染発生地域から出荷された鶏肉を巡り風評被害が広がらないよう、行政は消費者への啓発に取り組むことが求められる。

 防疫対策の徹底に加え、ささいな異常でも早期に見つけ、対応に乗り出すことこそ、被害を最小限に抑える鍵となる。

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