虹の松原、鏡山… 観光バスで巡る唐津の名所 モニターツアーに参加

西日本新聞 佐賀版 野村 創

 佐賀県唐津市内の観光名所を巡る日帰りの観光バスモニターツアーが、10月13日と15日に催された。公共交通機関で訪れる観光客に唐津の魅力を知ってもらおうと地元の市民団体が企画。将来の定期運行の可能性も探るという。唐津居住歴約2年の私も日々の取材で市内各地に足を運んでいるとはいえ、じっくりと観光する機会は少ない。自分が住む街をもっと知ろうと、ツアーに参加した。

 発案したのは、東京駅などを設計した市出身の建築家辰野金吾を顕彰する「唐津赤レンガの会」の田中勝会長(72)。市内の旅行会社「エム企画九州旅行」に話を持ち掛け、2日間限定で実現した。市内を巡る市内発着の観光バスツアーは約20年ぶりという。

 バスは午前9時にJR唐津駅を出発し、市内の宿泊施設を回って客を乗せる。約20人の乗客の大半は県内の人だ。まず向かったのは国特別名勝「虹の松原」。幅500メートル、長さ約4・5キロにわたり松林が広がる。「今通っている緑のトンネル、いかがですか。唐津に住んでいる者の誇りです」。松のアーチをくぐるバスの車内で、バスガイドでエム企画の経営者でもある村山みち子さん(70)の声が弾んだ。

 車窓から松原を眺めた後、唐津のシンボルの鏡山(標高284メートル)へ。山頂から虹の松原や唐津湾が一望できる。「松原のスケールが大きい。何度来ても素晴らしい」。市内に住む山口守さん(75)は目を見張った。山口さん自身も市外からの来客をまず鏡山に案内するという。

 この後、唐津くんちの曳山(ひきやま)が納められている曳山展示場や炭鉱王と呼ばれた高取伊好(これよし)(1850~1927)が暮らした国指定重要文化財「旧高取邸」、辰野が監修した旧唐津銀行を回り、唐津駅で解散。3時間40分の行程だった。同市の木村ちづ子さん(71)は「特に旧高取邸は広く、能舞台や欄間も豪華でびっくりした。こういうツアーがあればまた行きたい」と満足そうだった。

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 「地元の人は『唐津には何もなか』と言うけど、観光資源はいっぱいある。全国の人に唐津の良さを知ってもらい、また来たいと思ってほしい」。そんな思いで今回のツアーを引き受けた村山さんだが、定期運行には課題もあるという。

 その一つが料金だ。今回は政府の観光支援事業「Go To トラベル」を使って2500円に抑えたが、「バスのチャーター代や施設の入場料が必要で、行政の支援がないとなかなか採算が取れない」と村山さんは言う。ホテルや旅館の宿泊客の利用を見込んでおり、宿泊施設と協力態勢を築けるかも課題だ。

 今回のツアーでは参加者から「観光施設での説明が足りず、時代背景が分からなかった」「良い施設があるのに市外の人にあまり知られていない」と厳しい声も漏れた。観光施設側の魅力づくりも鍵となる。

 「市民の意識を高め、唐津の良さを発信することで『唐津にまた来たい』『バスツアーに参加したい』と思う人が増える。ハードルは高いが、市民の総力を結集すれば定期運行は実現できるはずだ」。田中さんは熱い思いを打ち明けた。 (野村創)

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