「今も残るのは珍しい」北九州市の山中に、旧制中学の射撃練習場跡

西日本新聞 北九州版 古瀬 哲裕

 北九州市若松区小石の石峰山中で、旧制若松中学(現在の若松高)の射撃練習場跡とみられる構造物が見つかった。同区出身の神奈川大名誉教授、田上繁さん(日本近世経済史)が石峰山の周辺を調べるなか、戦前に射撃場があったという住民の証言を聞き、9月中旬の調査で確認した。戦争遺跡に詳しい研究者によると、市内で学校の軍事教練の跡が確認されるのは珍しいという。

 場所は菖蒲(しょうぶ)谷池自然公園(同区小石)の上流で、現在はやぶにおおわれている。構造物はコンクリートや石積みなどでできていて、横幅約10メートル、奥行き約2メートル、高さ約1・8メートル。池だった場所に向かって地面が下る所をくりぬくように設けてあり、柱には「十六回卒業記念」と読める彫った跡がある。

 田上さんの連絡を受け、郷土史家で旧古河鉱業若松ビル(同区)の若宮幸一館長が調べたところ、若松高校の同窓会報や卒業アルバムに戦前の軍事教練に関する記事や写真がみつかり、1938(昭和13)年のアルバムには菖蒲谷とみられる実弾射撃を写した写真もあることが分かった。

 戦前、各地の学校では軍事教練があり、教官として陸軍の将校が配置されていた。同年卒業したのが第16回卒業生だった。

 その後、訓練を見た記憶があるという別の証言も得られた。構造物は池の対岸側から発砲する方向にあり、発砲時はその空間に身を隠したとみられる。

 北九州地区に残る戦争遺跡の調査や保存活動に当たる「北九州市の文化財を守る会」の前薗広幸理事長は「戦前は、軍以外にも学校や地元の団体が訓練する場所は各地にあったが、跡が今も残るのは珍しい」と指摘する。

 石峰山には、旧陸軍が設置した陣地の遺構も残っている。田上さんや若宮さんは「今後は、射撃場ができた時期や活動の内容なども調べたい」と話している。 (古瀬哲裕)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ