【動画あり】免許、車検、ナンバー不要 中国で“グレー”なシルバーカー急増

西日本新聞 国際面 坂本 信博

 【北京・坂本信博】少子高齢化が加速する中国で「老年代歩車」と呼ばれる電動シニアカーが急増し、社会問題となっている。日本でシニアカーといえばハンドル式電動車いすを指すが、老年代歩車は3~4人乗りの小型低速電動車。製造や走行に関する明確な規制は未整備で、運転免許も車検もナンバーも不要とされる。都市部を中心に事故や迷惑駐車が相次いでおり、当局が対策に乗り出した。

 中国の法律で電動自動車は運転免許が必要だが、自動車の要件を満たさない老年代歩車は“グレーゾーン”。中国メディアによると、北京では高齢者の利用が7割を占め、買い物や孫の送迎に愛用する人が多い。価格は5千~3万元(約8万~48万円)程度。三輪など車種は多様で、最高時速50~60キロのものもある。

 北京市内では、乗用車や大型トラックに交じって一般道を疾走する老年代歩車をよく見かける。市内で運転していた男性は「雨風をしのげるので冬は本当に助かる。取り締まりを受けたことはない」と話した。

 ただ、厚さ2ミリ以下の鉄製ボディーやプラスチック製など車体の強度不足が明らかな車も少なくない。中国では過去5年間に、老年代歩車を含む低速電動車の交通事故が約83万件発生。死者は約1万8千人、負傷者は約18万6千人に上る。

 河北省張家口市では昨年、高齢者が操作を誤って11人が負傷する事故も起きた。団地などの公共駐車場に老年代歩車を止める高齢者も多く、駐車場不足の一因にもなっている。

政府、規制を強化へ

 事態を重く見た中国政府の工業情報化部は、2021年までに国家基準をまとめる見通し。規制強化の流れに北京市内の70代男性は「免許不要で一般道を自由に走れると聞いたから買ったのに」と不満そうな表情を見せた。

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