事業拡大、ごみ処理コスト、撤去費負担… RDF継承へ三者三様の思惑

西日本新聞 総合面 御厨 尚陽 立山 和久

 2022年度末に第三セクター方式での運営を終了する福岡県大牟田市でのごみ固形化燃料(RDF)発電事業について、事業継承を提案したJFEエンジニアリング(横浜市)と県などとの交渉が続いている。九州で多角的な事業展開の足場を築きたいJFEと、20億円を超す関連施設撤去費を負担しなくて済む県など自治体側の双方にメリットがある。ただ、発電事業には燃料となるごみが一定量必要。現行よりごみ処理コストが高くなると見込まれる中で、参加自治体をいかに確保するかが交渉成立の鍵となる。

 「夢のような話。逆に疑心暗鬼になってしまう」。10月28日、大牟田市役所であった市議会の常任委員会。JFEの提案内容について説明を受けた市議から、こんな声が相次いだ。

 JFEの提案は、県や電源開発(Jパワー)などが出資する三セクに全株式を譲り受ける形で、少なくとも23年4月から28年3月まで運営を続けるとの内容。施設撤去費については、ごみを搬入している福岡、熊本両県の14市町でつくる5組合側に負担を求めないとの考えを示している。

 採算性の悪化などで全国的にRDF発電事業からの撤退が相次ぐ中、「火中の栗」を拾うメリットは何か-。広島県福山市でも同事業を手掛けているJFEは、廃棄物処理やリサイクル事業の全国展開を考えており、同社広報室は「九州には拠点がなく、大牟田から事業を拡大したい」と強調。大牟田でのRDF発電事業終了後は、リサイクル事業での跡地活用を検討するという。

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 自治体が重視するのは、ごみ処理のコストだ。JFEはRDF処理委託料について、現行の1トン当たり5900円の2・2倍となる同1万3千円を提案。20年度のRDF搬入計画量では、須恵町外二ケ町清掃施設組合が2万4876トン(全体の34%)、大牟田・荒尾清掃施設組合が2万4073トン(同33%)と上位を占める。関係者は「採算上、上位2組合の参加が重要。さらに増えれば、交渉成立しやすくなる」と明かす。

 既に大牟田・荒尾清掃施設組合は「十分なメリットが期待できる」との見解を示している。JFEの提案を受ける前の計画では、発電事業終了後、福岡県田川市や山口県宇部市などのセメント工場へのRDF処理委託を検討しており、その場合は1トン当たりの処理に輸送費が上乗せされて1万5千円になると試算していたためだ。輸送するための施設改造費も約6億1千万円必要で、大牟田市の担当者は「(JFEの提案は)渡りに船だ」と喜ぶ。

 一方で、別のごみ処理施設を活用する動きも。年間6890トン(同9%)のRDFを搬入する「宮若市外二町じん芥処理施設組合」と、4890トン(同6%)を搬入する「ふくおか県央環境広域施設組合」は、他のごみ処理施設で代用できるなどとしてJFEによるRDF発電事業への不参加を決めた。

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 この状況に気をもむのが、三セクの大株主の福岡県だ。現状、三セク出資者とごみを搬入する自治体とで施設撤去費をどう負担し合うのかは決まっていない。JFEとの交渉が決裂すれば、県も負担を求められる恐れがある。

 施設撤去費を巡っては、県などが4年前に11億円と概算したが、発電所を支える485本のくいの撤去を考慮していなかったため、三セクが19年度から計算し直したところ20億円を超えたという経緯がある。

 県の担当者は「財政状況が厳しい中、組合側は11億の撤去費を前提に基金を積み立てており、費用が倍になると言われても対応は難しい。一方で、組合側が負担するべきという出資者もいる」と悩ましげ。「だからこそ今回のチャンスを逃したくない」と続けた。

 JFE、組合側、福岡県。三者三様の思惑がある中、事業継承は実現するのか。5組合は県と協議の上、来年1月にも結論を出す。 (御厨尚陽、立山和久)

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【ワードBOX】ごみ固形化燃料(RDF)発電

 家庭の可燃ごみを乾燥させ、固めたものが燃料。悪臭がなく、輸送や貯蔵がしやすい。燃やした際の熱エネルギーで発電し、ごみを直接燃やすより、ダイオキシン類を減らせる。大牟田リサイクル発電所の総事業費は約105億円。2002年度に全国で初めて稼働し、19年度の年間電力量は約1億2000万キロワット時で、うち8割を売電した。人口減やリサイクル意識の高まりでごみが減少。電力自由化による売電価格低下や高い処理コストも影響し、全国で撤退が相次いでいる。

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