「マスクない人怖い」コロナ禍の子、心にのしかかるもの

西日本新聞 くらし面 金沢 皓介

「コロナ禍の子」番外編

 「マスクを着けていない人を見ると怖い」「学校生活最後の運動会がなくなった」…。福岡市のNPO法人が今秋、福岡県筑紫地区の小中学生約550人にコロナ禍の影響について調査したところ、さまざまな変化に戸惑う心境の一端が浮かび上がった。感染拡大の懸念や多様な学びの機会の喪失が、多くの子どもたちの心にのしかかっている。

 アンケートは、福岡市のNPO法人「子どもNPOセンター福岡」が9~10月に複数の学校で実施。コロナ禍で困ったことについて自由回答で尋ねたところ、感染対策を挙げたのが最も多く59人。「近くの席の子にマスクをしないことを注意しても聞いてくれない」、「走っていてマスクを外したら、知らない人にすごくひどいことを言われた」など、マスクに関するものが多かった。

 続いて、部活動の試合や学校行事、スキンシップなどのさまざまな機会がなくなったと回答したのが40人▽人に会えない、遊べないが37人▽勉強や学習の遅れが20人-だった。そのほか、「父親のボーナスがなくなった」「物価が高くなった」など経済面の心配、自分が感染した時にいじめに遭うことを懸念するといった差別を気にする声も複数あった。

 アンケートでは良かったことも聞いた。「家族と一緒の時間が増えた」「父親が飲みに行く回数が減った」など、休校で自宅にとどまる生活が続いたことによる家庭環境の変化を挙げたものや、ゲームやテレビの時間が増えたことを喜ぶ声が多かった。「休校前の生活がどんなにありがたかったかを考えられた」「家族や友達の大切さが分かった」と日常に思いをはせる内容もあった一方、「何も良くない、コロナは許せない」という意見もあった。

 家庭環境の改善は数字からも読み取れる。10段階で学校と家庭の過ごしやすさを小学生約200人、中学生約350人に尋ねて平均値を算出したところ、学校は小学生7・4、中学生7・2だったのに対し、家庭は小学生9・0、中学生8・5だった。

 2018年度の前回調査では小学生150人、中学生約1200人に尋ねており、学校は小学生7・2、中学生7・1、家庭は小学生8・4、中学生7・8。母集団が異なるため、単純比較はできないが、今回の方が小中学生とも家庭での過ごしやすさを高く評価する傾向がうかがえた。

 調査に携わった筑紫女学園大の大西良准教授(社会福祉学)は「コロナ禍で社会不安が高まる中、家庭内の絆が強くなり、今まで以上に子どもにとって家庭が安らげる場所になっている」と分析。一方で「家庭に葛藤のある状態だと親子のストレスが高まり、暴力や虐待として現れることもありうる」と強調する。

 環境の変化に対する子どもの戸惑いは依然として大きいことを踏まえ、「学校も保護者も子どもの小さな変化を見逃さないよう目を凝らしていくことが求められる」と話している。

 同様のアンケートは県内各地で小中高生約3800人に行っており、同法人は本年度中に調査結果をまとめる予定。 (金沢皓介)

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