戸畑区は無投票か、住民懸念 新人立候補の動き見えず 北九州市議選

西日本新聞 北九州版 壇 知里

 北九州市議選(来年1月22日告示、同31日投開票)で、同市戸畑区が無投票になる可能性が高まっている。定数4に対し、出馬の意向を示しているのは現職4人のみで、新人の立候補の動きは見えない。無投票になれば、2005年市議選の若松区以来16年ぶり、戸畑区では初めてとなる。「戸畑は浮動票が少なく、新人が出るのはリスクが高い」との声があり、今回の市議選で同区在住ながら別の区で立候補を表明した新人も。住民からは無投票への懸念が広がっている。

 今月中旬の平日昼、JR戸畑駅すぐそばの戸畑中本町商店街。シャッターを下ろした店が目立つ。同商店街協同組合の宮崎敏久理事長は「疲弊した商店街には問題が山積みだが、議員は何もしてくれなかったし、市議選に期待はない」と言い切る。

 土地の45%を日本製鉄九州製鉄所八幡地区(旧八幡製鉄所)が占める同区はかつて、選挙が活発な土地だった。同社労働組合などによると、15年ほど前までは労使一体で推す候補者を支援。共産党や公明党は労働者の町に溶け込んで票を伸ばし、商業地は自民党候補を応援したという。

 しかし、産業構造の転換による「鉄冷え」とともに労働者は減り、商業地も衰退。選挙活動は連動して下火になった。同区の天神商店街振興組合の高木壽則理事長(73)は「昔は歴代理事長が自民の候補者を連れて店舗に紹介して回った。今は加盟店が少なくて票にならんから議員も選挙前にちょっと顔を出すくらい」と肩を落とす。

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 選挙活動が下火になったとはいえ、組織中心の選挙が浸透している戸畑区は、浮動票が少ないといわれる。

 17年の前回市議選に同区から日本維新の会の候補として出馬した女性(34)=小倉南区=は「浮動票は少なく、地域との関わりがないとよそ者扱いされる印象だ」と明かす。

 今回の市議選で戸畑区に住んでいるが別の区から立候補を表明した新人(34)は「実家や職場など生活圏は区をまたぐ。自分の政策に共感してくれる人が多い区から出たい」と話す。

 北九州市立大の森裕亮准教授(地方自治論)は浮動票の少ない地域は新人に敬遠されがちだとした上で、兼業の難しさや立候補にかかる費用面などからも地方議員のなり手が不足していると指摘。「民主主義の根幹に関わる全国的な問題。夜間・休日議会など兼業しやすい仕組みや選挙カーを使わないなど伝統に縛られない選挙活動で柔軟性をアピールしていく必要がある」と強調する。

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 同区の住民からは「議員の仕事を評価する機会がないと政治が腐敗する」と、無投票への不安の声が上がる。

 同区出身で、13年の市議選に出馬した男性(52)の元には、今も住民から「無投票になりそうだから出てくれ」と電話があるという。「無関心が一番怖い。政治の良いも悪いも市民の目に触れてこそ正常な市政になる。でも、当選する見込みが低い選挙区から出るほど金にも心にも余裕はない」と漏らした。

 高木理事長は「親身になって町の活性化に携わるのが議員。有権者が判断しなくては、議員の意識も高まらないし政治が腐ってしまう。誰か立ってほしい気持ちは山々だ」と話している。

(壇知里)

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