【特派員オンライン】スーパーアプリの怪

 北京に着任して3カ月。食の豊かさや知り合った人々の温かさもあり、生活は快適だ。日本の暮らしと最大の違いは、現金を全く使わなくなったこと。中国で銀行口座を開設してスマートフォンアプリ「微信(ウィーチャット)」の決済機能が使えるようになって以来、紙幣や硬貨に一度も触れていない。

 中国のIT大手が2011年から提供する微信は「スーパーアプリ」と呼ばれる。家族や知人とのやりとりは微信のチャットや通話が主で、取材先とは名刺より微信の連絡先を交換する。行動履歴から新型コロナウイルスの感染リスクを示す「健康コード」も微信。日用品や食事の宅配、配車サービスも微信。北京出身の20代男性は「今一番怖いのは、微信のアカウントを凍結されること」と話す。

 微信の交信内容は、当局が人工知能(AI)も駆使して監視しているといわれ、突然利用できなくなることがある。〓小平、江沢民両氏など過去の最高指導者をやゆするスタンプはチャットに使えるが、習近平国家主席のものはなぜか投稿できない。新手の言論統制か。急速に発展するデジタル超大国の光と影を体感している。 (北京・坂本信博)

※〓は「登」に「おおざと」

関連記事

PR

国際 アクセスランキング

PR