無症状…自主検査ならPCR?抗原? 精度に差、誤判定の恐れも

西日本新聞 一面 吉田 真紀

 新型コロナウイルスの感染者が急増する中、症状がなくても、家族に高齢者がいる人などがPCR検査や抗原定性検査を自費で受けるケースが増えている。結果判明までの時間や費用は異なるものの、両方とも「今、感染しているか」を調べる検査。どちらが適しているのだろうか。

 「症状がない人は、ウイルスが少量でも判定できるPCR検査をするべきだ」。溝口充志久留米大教授(免疫学)は呼び掛ける。PCR検査は「陰性」と誤判定される人が10%以上出るものの、厚生労働省は「どの検査よりも精度が高い」(結核感染症課)としている。

 両検査とも鼻や喉の奥の粘液を採取して行う。PCR検査は検体の中にウイルスが5個以上あれば感知し「陽性」と判定できるのに対し、抗原検査で一般的な抗原定性検査は100個以上ないと難しいとされる。溝口教授は「無症状ということは、持っているウイルスが少量であることを意味する」と指摘。抗原定性検査で陰性と誤判定されて、人に感染させるリスクがある期間に出歩いてしまう恐れがあるという。

 にもかかわらず、無症状者を対象に抗原定性検査を実施していることをホームページで周知する医療機関も散見される。無症状の人が「陰性証明書」を取得するため、約40分で結果が分かり、比較的安価な同検査を選ぶケースもある。

 日本感染症学会の舘田(たてだ)一博理事長は「まだ開業医などに検査の正しい使い方が周知されていない」と問題視。同学会が140医療機関に調査した結果、20施設が感染者との接触歴がある無症状の人に抗原定性検査を実施していた。同学会は10月、無症状者については「陰性確定診断の検査として適さない」と注意を呼び掛けた。

 ただ、専用機器を使う抗原定量検査は、ウイルス量が少なくても検出できるため「PCR検査より少し落ちるものの精度は十分」(同学会)で、無症状者にも適しているとする。

 新型コロナウイルスは、インフルエンザウイルスより毒性が弱いとされるが、血栓症などの合併症を起こすのが特徴。溝口教授は「重症化リスクが高い高齢者らを守るため、高齢者施設職員や高齢者と同居する人は、定期的にPCR検査を受けることをお勧めしたい」。自費で検査を受ける場合は「さまざまな会社が検査用キットを販売しており、性能の差が大きい。厚労省が承認するキットを使用しているか確認してほしい」と話す。

 一方、症状があって感染が疑われ、医師が検査を必要と判断した場合、PCR検査や抗原定性検査が保険適用でも受けられる。「発症の翌日から9日目までの場合、検体には少なくとも100個以上のウイルスがあるため、どちらの検査でも判定は可能」。医師が患者の症状や緊急性などを総合的に判断し、適した検査を選択するため「医師の判断に従って」としている。 (吉田真紀)

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