水風呂に沈められ…虐待受けたモデル 視界開けた一枚の写真

【ひと】ブローハン聡さん

 児童養護施設の出身と明かし、モデル活動などを行う。フィリピン人の母と日本人の父の元に生まれたが、父に認知してもらえず、長い間、無戸籍だった。幼い頃はブロックのおもちゃか、10円玉を立てて遊んでいた記憶しかない。母との会話はタガログ語。日本語はテレビで覚えた。

 4歳の時、母が別の男性と結婚。男性から虐待を受けた。水風呂に沈められたり、バイクから落とされたりした。「殴られている時は痛みを感じない。早く終わらないかなと、ぼーっとしていた」。ライターで焼かれた尻のやけどに小学校の教師が気付き、保護された11歳まで暴力は続いた。

 施設に入ってからも冷めた目で世界を見ていた。14歳で母が病死し、不安定になっていた時、偶然目にした一枚の写真で視界が開けた。内戦が続くスーダンで、飢餓でうずくまる少女を狙うハゲワシの報道写真だ。想像できないほど過酷な状況にいる子どもがいると知り、「ないものよりあるものを数えるようになった。施設にいる自分にはチャンスがあると思えた」。

 施設退所後、働きながらオーディションを受けてモデルになった。2年前、友人に誘われて社会的養護で育った当事者として声を上げ始め、今は施設出身者らを支援する団体でも働く。やりたいことは山ほどあると言い、ルーツがあるフィリピンにも活動の幅を広げたいと考えている。

 「写真で僕が変われたように、誰かにきっかけを与えられる人でありたい。自分の人生は自ら選択できるという姿を見せられれば」と話す。28歳。東京都出身。 (久知邦)

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