91歳、戦争で諦めた絵を今 「心のままに作る」 地元画廊で貼り絵展

西日本新聞 筑後版 玉置 采也加

 福岡県久留米市櫛原町の平岡芳郎さん(91)の貼り絵展が同市東町の一番街多目的ギャラリーで開かれている。幼い頃から絵が好きだった平岡さんは戦争で描くことを断念。仕事が落ち着いた70歳から貼り絵を始め、今では、青春時代に諦めた絵への思いを取り戻すかのように、空いた時間は全て制作につぎ込んでいるという。6日まで。入場無料。

 絵が好きな父の影響で絵を描き始めたが、太平洋戦争が激化しそんな余裕はなくなった。学徒動員され工場で働いていた1945年7月、16歳だった平岡さんはある訓練を受け始める。使命は「敵の戦車が来たら爆弾を抱えて体当たりすること」。漠然と「死ななきゃいけんなぁ」と思った。

 父子の描いた絵は自宅そばの倉庫に置いていた。その年の8月11日、久留米が空襲された。自宅は焼け残ったが倉庫は全焼。絵も燃えてしまった。「でも悲しいとは感じなかった。戦争だったんだから」。4日後、敗戦を迎えた。「終戦が1カ月遅かったら死んでいた」と振り返る。

 焼け野原になった古里を見て「必死に頑張らないと」と仕事に打ち込み、住宅設備会社を経営するなど70歳まで働いた。一息つき、手習いで貼り絵を始め、絵に対する情熱が再燃した。

 過去に何度も登った阿蘇や九重の山々で手掛けた風景写真やスケッチを、和紙で貼り絵として再現している。「作りたいものを心のままに」。平岡さんは満足そうにほほ笑んだ。一番街多目的ギャラリー=0942(39)3030。 (玉置采也加)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ