「コロナ拡大」語らぬ首相 文章読み、質問はスルー 4日やっと会見

西日本新聞 総合面 前田 倫之

 菅義偉首相は4日、臨時国会会期末(5日)に伴う記者会見を開く方向だ。会見は、外遊先と内閣記者会のインタビューを除けば9月の就任時以来。この間、新型コロナウイルスの感染者数が急増したが、首相は官邸の出入り時に記者団の質問に短時間答える「ぶら下がり」や、政府の対策本部で発言する対応にとどめてきた。久々に国民に語り掛ける場で、さまざまな不安を和らげるリスクコミュニケーションを発揮できるか。

 官房長官時代は平日の1日2回、欠かさず記者会見を続けて「鉄壁のガースー(名字の逆さ読み)」の異名を取った首相。自身の政権発足以降は、国会で与野党の質問に答弁しているものの、正式な会見からは遠ざかっている。

 「ウイルス感染が拡大しているのに、一度も会見をしないのは責任放棄だ」(立憲民主党の枝野幸男代表)。こんな批判も受けているが、政府高官は「元々、言葉ではなく行動で示すタイプ。それに、新型コロナ対策でも指示に基づき担当大臣が頻繁に会見しているので、自分がわざわざ目立たなくてもいいと考えている」と首相を擁護してきた。

 ただ、国会答弁では回答に窮したり、秘書官から何度も援軍の紙を差し入れられたりと、首相の「アドリブが苦手な一面」(与党議員)もあらわに。松本正生埼玉大教授(政治学)は「官房長官の時は、厳しい質問は『ご指摘は当たらない』などとひと言でかわせたが、首相になると自身の政治的判断を示さないといけない」と指摘。さらに、「政権支持率にも直結するため、余計なリスクは負いたくないのだろう」と会見しない背景を分析する。

 首相が、会見の代わりと位置付けてきたのが「ぶら下がり」取材だ。

 9月16日~12月1日の間、記者団によるぶら下がり要請は少なくとも33回あり、うち首相が応じたのは「就任1カ月の受け止め」など20回だった。いずれも、カメラの前に立つと準備した紙を一方的に読み上げるだけで、追加の声掛けには反応せず。キャスターの宮根誠司さんが、テレビ番組の中で「総理が記者からの質問に対して背を向けて帰って行く姿を見ると、国民にしたら心配になるし、不安になる」とコメントしたこともあった。

 さて-。4日の会見は新型コロナにとどまらず、日本学術会議の問題、「桜を見る会」前夜の夕食会を巡る疑惑にも質問が及ぶことは必至。首相周辺は、こう平静を装う。「別に嫌がっているわけではない。粛々と答えるだけだ」 (前田倫之)

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