なぜ?ノロ集団感染、福岡市だけ急増 専門家も「分からない」

西日本新聞 社会面 横田 理美

 福岡市で今秋、ノロウイルスなどの感染性胃腸炎の集団感染が急増している。11月は市内の保育園や高齢者施設で52件発生し、10月の11件から大幅に増えた。一方、市内29の定点医療機関から報告される患者数は増加しているものの、「警報レベル」に達するほど多くはない。九州の他の自治体で集団感染の多発は確認されておらず、自治体関係者らは「なぜ福岡だけ」と首をかしげる。

 市保健予防課によると、集団感染は昨年は9月0件、10月2件、11月0件だった。今年は9月は3件と少なかったが、10月下旬から急増。11月は南区の保育園で園児計28人、博多区の高齢者施設で入居者と職員計16人に嘔吐(おうと)や下痢の症状が相次ぐなど、保育園を中心に連日の公表が続いた。いずれのケースも一部の有症者からノロウイルスを検出。重症者はいない。

 定点報告では、市内の1医療機関あたりの患者数平均を見ると、10月5~11日の1週間は1・52人だったが、11月16~22日は13・17人と週を追うごとに増加。全国の2・38人よりは多いが、流行警報の基準となる20人には達しておらず「全市的に流行している状況ではない」(同課)という。

 国は社会福祉施設などに対し、10人以上に症状が出た場合などに保健所に報告するよう義務付けている。市内では今年、有症者が増え始めた段階で保健所に連絡を入れる施設が目立つという。「新型コロナウイルスの拡大で感染症への対策意識が高まり、施設側が報告を徹底しているのでは」と同課の担当者。ただ、集団感染の地域差については、他の自治体関係者や専門家も「分からない」と口をそろえる。

 ノロウイルスは加熱が不十分な二枚貝などの食品や人の手を介し、口から感染する。保育園では嘔吐物やおむつ交換により園児や職員に広がりやすい。新型コロナの感染対策に用いられるアルコール消毒は「ほぼ無効」(同課)。テーブルや床、調理器具などは塩素系漂白剤での消毒や熱湯で1分以上加熱することが有効という。

 同課の担当者は「ノロにも新型コロナにも共通する予防は、せっけんでのこまめな手洗い。さまざまな感染症が流行する冬を前に、あらためて心掛けてほしい」と呼び掛けた。 (横田理美)

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