コロナ重症者増 医療現場の支援が急務だ

西日本新聞 オピニオン面

 このままでは「救える命」も失われる事態に陥りかねない。新型コロナウイルス感染の「第3波」とされる急拡大で、医療現場を支え、強化することが喫緊の課題となってきた。

 何よりも心配なのは、重症者と死者の著しい増加である。

 この1カ月にコロナ患者の病床使用率が急上昇した。4段階ある感染状況で2番目に深刻なステージ3(感染急増)の指標の一つである病床使用率25%を上回る都道府県が増えている。先月末時点で兵庫や大阪はステージ4(爆発的感染拡大)の指標である50%を超えた。

 九州でも感染者が増え、最も多い福岡県の病床使用率も上がってきた。兵庫ではわずか1週間で20ポイント以上も上昇した。

 東京や大阪では「医療崩壊」が現実味を帯びてきたという。コロナ患者の増加で、緊急性が低い手術を控えるなど一般医療にも影響が広がっている。医療現場には、症状によって治療の優先順位を決める「命の選別」を迫られかねない恐れも指摘されている。危険な状況だ。

 医療現場の逼迫(ひっぱく)は病床使用率といったデータが示す以上に深刻だ-との声も聞こえる。コロナ患者の受け入れ可能な病床の全てが即座に使用できるわけではない。地域によっては必要な医師や看護師を確保できず、新規患者の受け入れが困難になりつつある。

 コロナ患者を受け入れた病院の多くが、院内感染対策などで重い経費負担を強いられる。感染症以外の患者の診療控えも相まって減収に苦しんでいる。医療従事者の疲弊も著しい。

 政府は予定している本年度の第3次補正予算で、医療機関や従事者への支援策をさらに拡充し、民間医療機関のコロナ診療への参加を後押ししたい。

 医療崩壊阻止に最も有効なのが感染拡大の抑制であることは論をまたない。私たち国民も警戒を緩めず、マスクの着用や消毒、「3密」回避といった対策に取り組む必要がある。

 同時に、こうした「国民の努力」に「頼る段階は過ぎた」と訴えている対策分科会の強い危機感を、政府には重く受け止めてほしい。

 政府は需要喚起策「Go To キャンペーン」を推進する姿勢を変えていない。感染が急増する東京発着のトラベル事業の見直しでも、高齢者や基礎疾患のある人に利用自粛を求めるにとどまった。感染拡大防止の実効性は心もとない限りだ。

 感染拡大の山がこれ以上大きくなる前に、効果的な手を打つことが望まれる。感染爆発に至れば医療も経済も共倒れになりかねない。ここで政府は、軸足を感染抑止に移すべきだ。

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