コロナ交付金で「誓いの鐘」 税金の無駄遣いと批判も

西日本新聞 佐賀版 北島 剛 野村 有希

 新型コロナウイルスの対応を目的とした国の地方創生臨時交付金を巡り、佐賀県の事業が物議を醸している。県議会定例会で審議中の本年度一般会計補正予算案に計上された「佐賀誓いの鐘(仮称)」事業などが、交付金の使い方として不適切ではないかとの批判がある。問題点を探った。

 国の地方創生臨時交付金は総額3兆円。感染拡大防止▽雇用維持と事業継続▽経済活動の回復▽強靱(きょうじん)な経済構造の構築-が目的の事業なら幅広く使える。県はこれまで96億円を予算化。県議会で審議中の補正予算案では、誓いの鐘を県庁に設置する事業に778万円などを盛り込んだ。

 県は、厚生労働省の包括支援交付金と合わせた325億円のうち約80%は医療介護の現場などに、約15%は事業者支援に使っていると主張。残り5%を誓いの鐘や障害者スポーツ施設のトイレ改修、電光掲示板の購入補助などに充てるのは適切だと説明する。

 ただ幅広い理解を得られるかは疑問だ。県広報広聴課によると、交付金の使途に関する意見が2日までに電話とメールで200件届いた。「交付金の使い方がおかしい」など否定的な内容が多いという。鳥栖市の不動産業、平野浩司さん(56)は「税金の無駄遣いであり、県民として情けない」と憤り、誓いの鐘については「県庁にはほぼ行かないので恩恵はない」と切り捨てる。佐賀市の飲食業の40代男性も「忘年会の予約は例年より少なく、周辺の店も厳しい。交付金は直接的に役立つ施策に使ってほしい」と望む。

 誓いの鐘は山口祥義知事が発案した。2017年に国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」(熊本県合志市)に寄贈したレプリカの鐘に着目。同型の鐘を県庁に設置し、子どもたちが過去の差別を学び、新型コロナによる誹謗(ひぼう)中傷をしない思いを持ってもらうことを目的とする。県人権・同和対策課によると菊池恵楓園に贈った鐘は約600万円だったが、今回は説明板の設置などでさらに費用がかかるという。

 九州産業大地域共創学部の宗像優教授(地方自治論)は「自由度が高い交付金である以上、鐘を作ることが駄目だとは言えないが、県民が納得のいく使途にすべきだ」と語る。

 3日の県議会一般質問でも県議から「今すぐ必要なものではない。コロナ収束を待ってやるべきだ」「共感する人の寄付を集めて作るべきではないか」との意見が出た。山口知事は「コロナと闘っている今こそ」「税金を原資とした予算案を県民の代表である県議会が可決して設置する過程に意義がある」と理解を求めた。ただ、県議が「それならば一般財源でやるべきでは」と指摘すると、山口知事は「両方あり得ると思うので、その点は議論がある」と述べた。 (北島剛、野村有希)

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