「マイナスでしかない」安倍氏に党内も危機感 〝桜問題〟で聴取要請

西日本新聞 総合面 郷 達也 河合 仁志

 安倍晋三前首相側が主催した「桜を見る会」前日の夕食会を巡り、安倍氏本人が東京地検特捜部の事情聴取を受ける事態になれば、政治活動を再開していた安倍氏の政治的影響力がそがれるのは必至だ。自民党内からも「本人が説明責任を果たすしかない」との厳しい目線が向けられている。さらに吉川貴盛元農相への現金提供疑惑が浮上。「政治とカネ」問題は、新型コロナ対策で迷走する菅義偉政権を揺さぶる大きな火種となりそうだ。

 「説明責任があるのは当たり前だ。疑惑や金銭問題は安倍氏も吉川氏も自ら説明する以外に方法はない」。3日、竹下亘元総務会長は報道陣にこう指摘した。岸田文雄前政調会長も記者団に「政治と金の問題は、政治の信頼という点で大変重大で深刻だ」と述べた。

 厳しい指摘が相次ぐ背景には「逃げ続けると政治不信になる。衆院選を控えて自民党にとってマイナスでしかない」(衆院中堅)との危機感があるためだ。

 7年8カ月の長期政権を築いた安倍氏。持病の悪化に伴う退陣表明から約1カ月後の9月、表舞台での活動を再開。出身の細田派への復帰と会長就任を望む声が次第に高まっていた。

 衆院解散を巡っては「私が首相だったら、今の支持率を見ると強い誘惑に駆られる」と発言するなど、菅政権の“キングメーカー”への意欲をのぞかせた。

 だが「桜問題」の再燃により、安倍氏の「再々登板」を望む声は一気にしぼむ。特捜部の公設秘書の聴取に加え、安倍氏が真っ向から否定してきた夕食会費用の補填(ほてん)が次々と判明。「霞が関の総意として、復権を望んでいないということが、はっきりした」。細田派関係者は声を潜めて解説する。安倍氏の「盟友」である麻生太郎副総理兼財務相は周囲に「派閥への復帰は時間がかかるかもしれないな」と漏らす。

 安倍氏を擁護してきた首相にとっても大きな痛手だ。今月4日に予定されている首相の記者会見では、安倍氏の「虚偽答弁」を追認してきた首相の責任が追及されるのは必至だ。「支持率がずるずる落ちていくのは目に見えている」(麻生派関係者)との見方が強まっている。

 さらに、首相に追い打ちを掛けるのが、鶏卵生産大手「アキタフーズ」グループ元代表による吉川元農相への現金提供疑惑だ。吉川氏は首相と初当選同期で、二階俊博幹事長率いる二階派の所属。事件に発展すれば、首相と二階氏へのダメージは避けられない。

 ある若手議員は不安げにつぶやく。「こんな失態、疑惑が続けば政権も一気に下火になり、国民にそっぽを向かれる」

 (郷達也、河合仁志)

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