無傷でも帰れぬ我が家 二次災害恐れ今も「仮設」熊本豪雨4日で5ヵ月

西日本新聞 社会面 村田 直隆

 7月の熊本豪雨後、熊本県南部の8市町村では住宅被害の程度にかかわらず、各自治体の判断で422世帯(2日現在)が仮設住宅の入居対象となっている。自宅が無傷でも、集落内で土砂崩れなど二次災害の恐れがあったり、道路が寸断して生活が困難だったりするからだ。4日で豪雨から5カ月。被災者には「(仮設入居期限の)2年間で自宅に帰れるのか」という不安も漂う。

 「家には何にも被害がないのに、いつまでこの生活が続くのか」。津奈木町の柳迫集落の自宅で、村上兼雄さん(81)はため息をついた。

 集落では豪雨後、海岸沿いに並ぶ住宅裏の斜面にずれが生じ、地表には亀裂も見つかった。土砂崩れは起きていないものの、町は「地滑りの恐れがある」として避難指示を継続。7世帯16人が仮設住宅に身を寄せる。県は地盤変動の原因特定を急ぐが、対策工事の完了時期は見通せない。

 村上さんは仮設住宅から毎日自宅に戻り、換気や畑の手入れをし、仏壇にご飯を供える。「せめて戻れる見通しが立てば気持ちの整理がつくんだけど」

 一方、土砂崩れが多数発生した芦北町では88世帯が仮設入居の対象になった。

 山あいにある滝の上集落では、大規模崖崩れの影響で8世帯に避難勧告が出ており、このうち5世帯14人が町内の仮設住宅で暮らす。瀧崎利津子さん(67)は自宅に土砂や泥水が流入し、準半壊と判定された。大半のかんきつ畑や物置小屋も土砂に押し流された。残ったかんきつを手入れするため、仮設住宅から車で約15分かけて通っている。

 集落では今も被害を免れた2世帯が暮らし、別の土地に移る決断をした住民もいる。瀧崎さんは自宅の泥出しや清掃を終え、修繕工事を待つ。修繕が完了すれば自宅での生活を再開できるが、「完全に終わらん限り帰れん。来年、再来年も同じような雨が降れば恐ろしかもん」。県によると、崖崩れ現場は地質のボーリング調査中で、復旧工事の完了時期は未定という。

 両町を含め複数の自治体が、二次災害の危険性が解消される見通しが立たない世帯について、被災者生活再建支援法に基づく「長期避難世帯」の認定に向けて県と協議を進めている。認定されれば、家屋被害がなくても最大300万円の支援金の支給対象となる。

 ただ、認定が解除されるまでは集落に居住することはできなくなる。「認定されると困る。でも、災害も怖い…」と語る瀧崎さん。「お金もかかるし、自宅を離れることは考えられない」と困惑している。 (村田直隆)

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【ワードBOX】仮設住宅

 災害救助法に基づき、住家が全壊した被災者に対して、国と都道府県が提供する住宅。プレハブなどで造る「建設型」と、民間賃貸住宅を借り上げる「みなし仮設」の2種類がある。入居期限は原則2年。7月の熊本豪雨では大規模半壊・半壊で住めなくなった世帯のほか、二次災害の恐れがあったり、生活道路が寸断されていたりする世帯も対象になっている。

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