菅首相「経済重視」貫く コロナ感染防止策に新味なし

西日本新聞 総合面 一ノ宮 史成

 2度目となる官邸での記者会見で、菅義偉首相は新型コロナウイルス感染症「第3波」への対応を説明。感染防止策には大きなインパクトはなく、あくまで経済対策をより重視する姿勢が際立った。閉塞(へいそく)感を和らげ、国民に安心のメッセージを届けることはできたか。

 「国民の命と暮らしを守る。これが政府としての最大の責務だ」。午後6時に始まった会見冒頭で、首相は感染防止と社会経済活動の再生の両立に意欲を示した。

 来週に新型コロナの追加経済対策を決定すると力を込め、ひとり親世帯への5万円手当支給や、営業時間を短縮した店舗向け協力金に充てる地方創生臨時交付金の1兆5千億円増額など、具体策を列挙した。

 観光支援策「Go To トラベル」では運用見直しを語ったが、来年6月末までの期限延長には言及せず。実は、当初の文案には入っていたが「今の感染拡大局面での発信は反発を招きかねない」(政府関係者)との首相の意向で外したという。

 第2次安倍政権の官房長官時代から、GoToの旗を振ってきた首相。周囲には「ある意味、政治生命を懸けた」と覚悟を伝えており、政府高官は「経済重視を変える気は一切ない」。

 だが、「一時停止」か「自粛」かで綱引きし、自粛に着地したトラベル事業の東京都発着分などを巡っては、与党からも「分かりにくく、国民にドタバタしていると受け止められれば、政治への信頼に関わる」(岸田文雄前政調会長)との声が出ている。

 一方、冒頭発言で重症者向け病床の逼迫に強い危機感を表明したものの、感染防止の具体策はワクチンの準備に注力することや「マスク着用、手洗い、3密回避」と、従来の範囲を超えるものは示さなかった。

 共同通信の11月中旬の世論調査では、7割近くが「感染防止」を優先するよう求めている。自民党の閣僚経験者は苦言を呈した。「具体的な方策や強い言葉でリーダシップを示せなければ国民は不安になるばかりだ」

 (一ノ宮史成)

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