「玉虫色」じゃない玉虫研究を

西日本新聞 社会面 塩田 芳久

 「玉虫色」はいつからマイナスイメージの言葉になったのか。「玉虫色の決着」のように、見方次第でどうとでも取れる曖昧な物事によく使われる。リアルな玉虫色は美しいのに。福岡県古賀市の船原(ふなばる)古墳出土の馬具に玉虫の羽が使われていた、との報道に触れながら、そう考えた。

 復元された馬具は玉虫色に輝いていた。20枚もの羽は光の加減で紫色から緑色へと移ろって見える。玉虫には気の毒だが、その羽を装飾に使った古人の美意識は現代人の心もつかむ。今年最大の考古学トピックといえるだろう。

 ただし新しい発見は新しい謎を生む。使った玉虫は在来種か外来種か? 新羅(しらぎ)の影響が強いとされる玉虫馬具と、百済観音を所蔵する法隆寺(奈良県斑鳩町)にある玉虫厨子(たまむしのずし)との関係は? こうした謎は、船原古墳の膨大な出土品の調査で今後明らかにされるかもしれない。「玉虫色」ではない、研究者たちの結論を期待したい。 (塩田芳久)

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