首相は堂々と説明を 目立つ答弁回避、迫力足りぬ野党 臨時国会閉会

西日本新聞 総合面 森井 徹 川口 安子

 菅義偉内閣が初めて臨んだ第203臨時国会は5日、閉会した。日本学術会議の会員任命拒否問題、再燃した「桜を見る会」に絡む疑惑などで首相自身の説明責任が問われる場面が続いたが、十分に尽くされたとは言いがたい。野党の追及も迫力を欠き、重い消化不良感を残した。待ったなしの新型コロナウイルス感染症対策も含め、課題は閉会中審査と来年の通常国会に持ち越される。 

 与野党が対立する法案が少なかった今国会で焦点となったのは、任命拒否問題で新たな事実が掘り起こされるかだった。

 だが、首相は「総合的、俯瞰(ふかん)的観点から判断した」「個別の人事に関することなので答えは差し控える」などと繰り返すばかり。質問を受けるたび、秘書官の耳打ちやメモの差し入れに頼った。アドリブが得意でない首相の答弁が一線を越えて野党の攻勢を招かないよう、周囲が守る場面も目立った。

 政府、与党は、拒否の判断に関与したとされる杉田和博官房副長官の国会招致と、人事案の起案に関する公文書の提出もかたくなに拒否。さらに、自民党は「行政改革の一環」として日本学術会議の在り方を問い直す検討に乗り出し、野党は「論点のすり替えだ」と反発した。結局、議論は煮詰まらなかった。

 国会後半戦には、安倍晋三前首相主催の「桜を見る会」夕食会を巡る疑惑で、東京地検特捜部が捜査を進めていることが報道で明らかに。当時、官房長官だった首相も、国会答弁が虚偽だったのではと詰め寄られたが「答弁を控える」を連発してかわした。

     ■ 

 野党が、期待された力を発揮できなかった国会とも言えた。

 第1党の立憲民主党は衆参150人規模の大きな固まりとして初陣を迎えたが、開会直後に国民民主党が衆院の共同会派から離脱し、勢いをそがれた。新型コロナ禍が拡大する中で、国民から白い目で見られかねない審議拒否などの強硬手段も取れず、昨年の臨時国会に続き最終盤の内閣不信任決議案提出も見送った。野党間の候補者一本化の調整など衆院選準備が遅れており、首相を刺激して「解散を誘発するリスクを避けた」(関係者)意図もあったとみられる。

 来年1月に召集される通常国会では、引き続き新型コロナ対策、桜を見る会、12月に入り急浮上した吉川貴盛元農相への現金提供疑惑などで、より「実」を伴った論戦が求められる。首相は、4日の記者会見でも「コロナの感染拡大阻止、経済再生が最優先だ」と改めて強調した一方、政権支持率は今のところ底堅く推移しており、夏の東京五輪・パラリンピックなどをにらみながらいつ、「伝家の宝刀」を抜くかが注視される。信を問うその前に、まずは真正面から堂々と自分の言葉で、国民の疑問に答えてもらいたい。

(森井徹、川口安子)

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