「嘉穂アルプス」縦走に挑戦してみた 登って下りて7時間…12キロ踏破

西日本新聞 筑豊版 長 美咲

 「嘉穂アルプスの縦走イベントをするけど、来てみんね」。11月上旬、福岡県嘉麻市の登山グループ「嘉穂三山愛会」からお誘いがあった。2年前に登山を始め、この半年は月1回のペースで登っているものの、まだ経験の浅い私が登り切れるのか。不安に思っていると、上司が「途中で脱落してもおもしろいやん」。この言葉でやる気に火がつき、私は参加を決めた。

 今回登るのは、馬見山(978メートル)、江川岳(861メートル)、屏山(へいざん)(927メートル)、古処山(860メートル)の嘉穂アルプス全4座。小石原登山口(東峰村)をスタートし、古処山キャンプ村「遊人の杜(もり)」(同市)まで約12・4キロのコースだ。

 同月下旬、午前8時過ぎ。登山口の空気はひんやりとしていた。参加者は15人で、最年少は25歳の私、最年長は79歳。「最初の馬見山までは、なだらかな道が続きます」。同会の有田芳行さん(68)からこう説明を受けて出発した。ところが、すぐに短い急な階段や登り坂が現れ、開始15分ほどで汗がにじんだ。「ここが終われば本当に歩きやすいですよ」とガイドさん。

 その言葉通り、以降はほとんど傾斜を感じない道が続き、ハイキング気分。例年なら紅葉の見頃だそうだが、今年は終わっていた。その代わり、落ち葉が地面を覆い足元はふかふかで、歩くたびにくしゃくしゃと音を立てる。時折、鳥の鳴き声も聞こえる。足の感触や音を楽しんでいると、あっという間に2時間が過ぎ、馬見山にたどり着いた。

 ここまでが約6キロ。距離にして半分が終わり、一安心していると「本番はこれから。江川岳までが今日一番の難所です」。しばらく下った後に登りが続き、体力を奪われるという。

 気を引き締めて再出発。慎重に進んでいくが、途中から膝が笑いだし尻もちをついてしまった。励まされながら約30分の下りを終え、次は登りだ。言わずもがな、これがきつい。息を切らしながら少しずつ前へ進むこと30分、どうにか江川岳山頂に到着した。

 この江川岳、名前がついたのは2018年2月。同会によると、ダム建設により地区(朝倉市)から集落が無くなっていることなどから、集落名を山の名前として残そうと決まったそうだ。

 次に向かうのは屏山。「後は楽」と言われていただけに心軽やかに歩いていると、目の前に再び長い登り坂。「今度こそ最後の登りです」と再三にわたるガイドさんの励まし。それを聞いた参加者は「最後が何回かあったり、あと5分って言って本当は10分かかったりするのは山のガイドさんあるあるやもんね」。

 そして、最後の古処山へ。登山道はこれまでと違う雰囲気になった。小ぶりで濃い緑の葉がかわいらしいツゲが生い茂り、こけむした岩が転がる。ジブリのアニメの世界を感じる人も多いそうだ。この場所のツゲ原始林は、絶滅の恐れがある動植物をまとめた県レッドデータブックの4類に指定されており、国の特別天然記念物にもなっている。大切に守りたい自然だ。

 古処山の山頂を過ぎると歩きやすい道が続いた。ゴールはまだだが、全4座を登頂できた達成感が沸いてくる。軽快に歩いていると、なんともない道で再び豪快にズルッ。「ここは最近作った道だからまだ土がふかふかなんですよ」。これまで使っていた道は7月の雨で荒れたため、同会が整備したのだという。

 午後3時過ぎ、無事に全員で遊人の杜まで下りてきた。休憩を含め7時間、疲れはあるが皆さんも笑顔がはじけた。あれから2週間。「あそこを踏破したのかあ」と、嘉穂アルプスを見てはにんまりしている。

      ■

 嘉穂三山愛会は元旦の初日の出、5月第2日曜の山開き、8月の山の日に馬見山に、同月第1日曜に古処山に登る催しを開いている。来年の縦走は10月下旬~11月上旬を予定。登山道整備のボランティア募集中。

 (長美咲)

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