「一生懸命は誰かが見ている」挫折乗り越えた三つ星シェフの原点は

【ひと】パリ「ランブロワジー」料理長の吉冨力良さん

 料理店ガイドのミシュランで30年以上三つ星を獲得し続けるパリのフランス料理店「ランブロワジー」の料理長を務める。同店は木村拓哉さん主演のドラマのロケ地としても注目を集めた。

 パリでは新型コロナウイルスの拡大で外出制限が再び敷かれ、一時帰国中の11月、母校の中村調理製菓専門学校(福岡市)で特別講義を行った。実演した料理の一つが目玉焼き。「塩やこしょうの量、卵の火の入り方など何もごまかせない。シンプルな味付けが一番難しい」からだ。

 熊本県甲佐町出身。2004年に同校卒業後、九州や東京のレストランで働くも長続きせず、「逃げるように辞めたこともあった」。挫折の連続だったという。

 転機は08年の渡仏。フレンチの本場を見て料理人を辞めるつもりだったが、美しい景色に逆に魅了された。蓄えもビザもない状態から再起し、現地の二つ星店で働くまでになったが、「そこそこの料理人はごまんといた」。さらなる高みを目指し、14年にランブロワジーの門をたたいた。

 16年の熊本地震で実家が全壊した。この年の冬、肉などをパイ生地で包む料理「パテ・アンクルート」の世界大会で準優勝。「地元に明るいニュースを届けたかった」。翌年、再挑戦で頂点に立った。「一生懸命頑張っていれば誰かが見ている」。今春、尊敬するオーナーシェフから料理長に指名された。

 親が共働きで小学校低学年から料理を作り、喜んでくれたことが原体験。「俳優や歌手も人を感動させるが、味覚を刺激できるのは僕らだけ。すごく魅力的な仕事」と力を込める。35歳。(具志堅聡)

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