「GoToは不要不急、中止を」尾身氏が重ねて訴え 衆院厚労委

 人の動きを止めるのが世界的に合理的な選択だ―。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は9日、衆院厚生労働委員会閉会中審査に参考人として出席。感染抑止の専門家の立場として、新規感染者が急拡大している「ステージ3」相当地域を、観光支援事業「Go To トラベル」の対象から除外するよう繰り返し訴えた。

 ステージ3は、感染状況を示す4段階の基準で上から2番目に当たる。現状では、札幌市や大阪市、東京都の一部などがステージ3相当とされる。分科会は11月20日の時点で、ステージ3とされた地域をトラベル事業から外すよう提言していた。

 尾身氏はこの日の質疑でトラベル事業について、政府や自治体が控えるよう呼び掛けている「不要不急の外出」に含まれると明確に指摘。社会経済活動の回復に向けた事業の必要性は「分科会の全員一致で理解している」とした上で、なお「今の感染状況では中止した方が良い。感染を下火にしてからしっかりやった方が、経済的にも良いし国民の理解を得られる」と強調した。答弁の端々に危機感がにじんだ。

 また、8日に閣議決定された追加経済対策のメニューに、トラベル事業の来年6月までの延長が含まれることに関し、政府から分科会に諮問がなかったことを明らかにした。立憲民主党の長妻昭氏が「政府は分科会に諮問すれば否定されると思い、意見を聴かなかったのではないか」と追及したのに対し、田村憲久厚生労働相は「経済対策を分科会に掛けることはない」と説明した。

 尾身氏は、緊急事態宣言についての認識を問われると「国として宣言を出すステージには至っていない」と答弁。「一部地域では、医療が非常に逼迫(ひっぱく)している」としつつも「国が緊急事態宣言を出すことと、各地域が緊急事態相当の状況にあるということが少し違う」と補足した。

 閉会中審査後の加藤勝信官房長官の記者会見では、トラベル事業への尾身氏の発言に絡む質問が集中した。加藤氏は「最終的には国が運用を判断するが、都道府県の判断を十分に踏まえている」と述べ、事業の在り方に理解を求めた。

(湯之前八州、一ノ宮史成)

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