鶏の殺処分、過去最悪ペース 養鶏業者は二重の苦しみ

西日本新聞 社会面 佐伯 浩之 岩尾 款 山下 真

 鳥インフルエンザウイルスが猛威を振るっている。九州では福岡に続いて「養鶏王国」の宮崎、10日には大分でも発生。鶏の殺処分は全国の9県で300万羽を超え、過去最悪のペースとなっている。養鶏業者にとっては、新型コロナウイルス感染で外食需要が低迷する中での鳥インフル拡大で二重の苦しみとなっている。専門家は韓国での感染の広がりに着目し、「さらに拡大する恐れがある」と警戒を呼び掛ける。

 「コロナも鳥インフルも完全に防ぐことは不可能。祈るしかない」。宮崎市でブランド鶏「みやざき地頭鶏(じとっこ)」を4千羽飼育し、料理店も営む「ぐんけい」の中西幸男社長(49)は頭を抱える。

 コロナ感染拡大で経営する飲食店は4月に1カ月以上営業を休止、売り上げが激減した。地頭鶏の事業組合は県内の出荷羽数が平年の半分の25万羽程度になると見込むが、中西社長は「地頭鶏は鶏舎の外で平飼い。感染した野鳥のふんが落ちてきたら終わり」と話す。

 今季、最初に養鶏場で発生したのは香川県。11月上旬以降、県内で飛び火し、同月25日には福岡県宗像市で見つかった。12月1日には宮崎県日向市でも発生し、その後も県内で4例確認。10日に大分県佐伯市にも感染が広がった。全国での鶏の殺処分数は今季、高病原性での殺処分が最多だった2010~11年の約183万羽を上回っている。

 宮崎大農学部の末吉益雄教授(61)=家畜衛生学=によると、ウイルスはカモ類などの渡り鳥がユーラシア大陸から南下して持ち込まれる。

 末吉教授は香川県など瀬戸内海周辺で多発していることから「渡り鳥が日本海から北陸、山陰を経て瀬戸内海を越えて四国や九州に入るルートでウイルスが入っているのではないか」と推測。これまで被害があまり出ていなかった韓国でも感染が広がっているといい、「大陸から朝鮮半島を経由して九州に入るルートでも発生が予想される」と警鐘を鳴らす。

 渡り鳥の南下は、1月がピークで北上は2~3月。末吉教授は「4月までは要警戒。鶏舎の周囲に消石灰をまくことに加え、卵やふんを搬出する出口を必ず閉めるなど丁寧な対策が必要」と指摘する。 (佐伯浩之、岩尾款)

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