「ブラック校則」見直しの動き 下着は白、友人宅外泊× 生徒が議論

 佐賀県弁護士会が11月、県教育委員会に見直しを提言して注目されている「校則」。発達途上の子どもたちの学校生活に必要とはいえ、過度に縛り付けるような内容は近年「ブラック校則」と呼ばれ、全国的に見直しを求める動きがある。県内の現状と改善を模索する現場を追った。

 「制服に性差があるのはおかしい」。県弁護士会の提言メンバーの一人、稲村蓉子弁護士はこう疑問を投げかける。

 中学校校則を見直す提言のきっかけは、弁護士会が2月に佐賀市で開いたLGBTなど性的少数者に関するシンポジウム。男子はスラックス、女子はスカートといった学校現場の「普通」に悩んだ当事者たちの声が紹介された。

 稲村弁護士ら約10人の「調査チーム」は4月から県立中4校、佐賀市立中18校の校則を調べ、現場の教員や生徒にも聞き取りをした。すると、合理的と言えるかは怪しい校則が明らかになった。

 稲村弁護士は「白の下着だと、シャツも白なのでかえって透けて目立ちやすい」と指摘する。靴下のくるぶし丈禁止はチーム内でも疑問の声が相次いだという。確かに謎だ。ファッション性を抑える目的なのか。

 学校が指定する防寒具着用時期は「体調はそれぞれ。生徒の判断に委ねるべきだ」とチーム代表の東島浩幸弁護士。暗色系に偏る点も「夜間、塾に通う子は多い。高齢者には車の事故に遭わないよう明るい服を薦めるのに、安全の観点からも変だ」と疑問を呈す。友人宅への外泊禁止は各家庭の指導範囲でよいようにも思える。

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 こうした校則は各学校長に制定の裁量がある一方、見直し手続きを明記した校則はゼロ。意義や成り立ちまで説明していたものも乏しかった。東島弁護士は「なんとなく良い悪いではなく、きちんとした判断基準が必要。説明できない校則は見直すべきだ」と訴える。

 県教委も3月、校則の見直しを促す通知を県立の中高、特別支援学校に出した。落合裕二教育長は2日の県議会一般質問で「今の観点でみると、どうかなと思うのが散見される」と県内の校則を疑問視。「今回の弁護士会の提言は(県教委の考えと)かなり重なりあう。校則が注目されたことで各学校で問題意識が高まり、見直しが進むと期待している」とも述べた。

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 現場では見直しに向けた動きもある。

 鳥栖市の県立香楠中は、教員側が11月に見直しの原案を示し、生徒会の風紀委員を中心に生徒の意見を集約しているという。本年度末までには結論を出す方向だ。

 「校則見直しに関われてやりがいを感じる」と風紀委員長の女子生徒(14)。宮副健治副校長は「権利と義務のバランスを考えるのは主権者教育にもつながる」と手応えを語る。

 佐賀市立成章中では3年前、タイツがベージュ色に限定されていたことにある女子生徒が異論を唱える「黒タイツの乱」があったという。

 その結果、学校側は黒タイツを容認。性の多様性の議論にもつながり、本年度からは女子も男子と同じスラックスを選べる制服の選択制を導入した。川原文教頭は「教員が一方的に指導するのではなく、生徒が主体的に議論して学び、成長につながることが大切だ」と話した。

 ただ、「校則を抜本的に見直したいが、時間と労力に余力がない」と本音を漏らす教員も。東島弁護士は「指導する範囲と程度を再考すれば、教育現場の働き方改革にもなる」。

 稲村弁護士は「校則をなんとなく受け入れてきた私たちの社会にも責任はある」と自戒を込める。「子どもの人権」「性意識」…。校則の見直しは、時代ともに変わる社会の課題を浮き彫りにしている。

 (金子晋輔)

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