「阿部選手のおかげで強くなれた」柔道・丸山選手、悔し涙の完全燃焼

西日本新聞 社会面 末継 智章

 東京五輪柔道男子66キロ級の代表決定戦が13日、東京・講道館であり、丸山城志郎選手(27)=ミキハウス、宮崎市出身=が阿部一二三選手(23)=パーク24=に敗れて初の五輪出場を逃した。「自分のやってきたことをすべて出し切れた」。涙で声を震わせた丸山選手だが、ライバルとの激闘に悔いは見せなかった。

 全日本柔道連盟は今年2月までに男女13階級の代表を発表したが、同級だけは2人から選ぶことができなかった。最終選考会として4月に福岡市で行うはずだった全日本選抜体重別選手権がコロナ禍で延期になり、再設定された大会も中止に。日本柔道界で初めて五輪代表を「ワンマッチ」で決めることになった。

 静寂に包まれた講道館。緊迫感の中でも丸山選手は冷静だった。延長に入って11分が過ぎると得意な内股の形で仕掛けられるように。長時間の闘いを制した昨春の全日本選抜体重別選手権と同様、徐々にペースをつかんでいた。だが、試合時間ちょうど24分、一瞬の隙を突かれた大内刈りにポイントを奪われた。

 福岡・沖学園高時代から切れ味鋭い内股を持ち、「天才」と呼ばれた。天理大2年時に左膝前十字靱帯(じんたい)を断裂。膝のリハビリをしていた2014年にリオデジャネイロ五輪代表を争うまでに台頭したのが当時高校2年生の阿部選手だった。17、18年に世界選手権を2連覇したライバルを見て「力強さや我慢強さ、勝ちにこだわる執念が課題になる」と対抗心を燃やし、19年の同選手権を制覇。代表を手につかみかけた。

 五輪を阻まれた宿敵に「肉体的にも精神的にも強くなれたのは阿部選手の存在があったから」と感謝する。一部の関係者には24年パリ五輪に挑む意欲を伝えている。「僕の柔道人生は終わっていない。諦めずに前を向き、精進する」。不屈の柔道家が再び立ち上がった。 (末継智章)

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