本気度見えない「ガースーです」

 本気で勝負するなら、トップが自らの言葉と行動で決意の程を示すべきだった。新型コロナの感染防止に集中的な対策を訴えた「勝負の3週間」だ

▼政府が笛を吹けど、繁華街や観光地の人出はあまり減らなかった。感染者は増え続け、医療は逼迫(ひっぱく)した。自制を求める一方でGoTo事業を続けた政策の矛盾が失敗の要因だろう

▼常識で考えても、おしゃべりを慎む旅行は楽しくなかろう。むしろ旅先では、はめを外しがち。だが、事業継続にこだわる菅義偉首相は「感染拡大の主要な原因とのエビデンス(証拠)はない」と言い張った。仮にそうだとしても、政府が旅行や外食を税金で推奨している事実が国民の心のたがを緩ませたのは否定できまい

▼では、トップの本気度は。国会答弁や記者会見は目を伏せて原稿を棒読み。専門家の意見にも耳を貸さない。けれど内閣支持率が急落すると「Go To トラベル」の全国一斉停止を即断。政権の危機というエビデンスには敏感のようだ

▼こちらは心を揺さぶられる演説。「1日590人の死は受け入れられない」。冷静なドイツのメルケル首相が感情をむき出しにし、クリスマス期の対策強化への理解を国民に求めた

▼片や、わが首相。「勝負」の期間中にネット番組で「こんにちは、ガースーです」とおどけてみせた。一斉停止を発表した夜に大人数で「忘年会」とも報じられた。国民の目にどう映ろう。

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