忘れ難い結婚記念日に 連載「霹靂の日々」(54)大島一樹
連載を始めて、読者の方から何度かお便りをいただきました。先日も書いた通り、オクサンのような遷延性意識障害の家族の会からも。本当にありがたく、この場を借りて、感謝を申し上げます。
11月は私とオクサンの30回目の結婚記念日でしたが、やはりコロナ禍の状況では面会禁止で何もできず、入院費の支払いに行った折に様子を聞いたぐらい。
そんな中で先月、ある読者の方からプレゼントが届きました。「結婚記念日に花を持っていけない」と書いていたのを読まれ、贈っていただいたものです。樹脂粘土で作られたかわいい鉢植えでした。
病院にもよるとは思いますが、見舞客自ら花瓶に入れられない場合は、生花の持ち込みはできません。造花であれば大丈夫なのですが、そのこともご存じだったのでしょう。本当にありがたかったです。さっそく先日、病院に持っていって、オクサンのベッドサイドに置いてもらいました。
同封されていたお手紙には、鉢植えの花それぞれの花言葉も書かれており、私たちに「ぴったりだ」とも。照れくさくも心温まる内容でした。
私の経験や思いが、こうして読者の方々に届いている実感は、何物にも代え難くうれしいこと。今回の結婚記念日は、違った意味で忘れ難い日になりました。たくさんの方に読んでもらい、感想まで寄せていただき、励みになっています。
(音楽プロデューサー、佐賀県みやき町)