阿蘇へ復興登山 「再生見守る」住民と魅力探る 熊本地震から4年半

 大昔の火山活動がもたらす大自然と住民の暮らしが溶け合う熊本県阿蘇地域。九州屈指の観光地としても親しまれるが、美しい山野の里は熊本地震に見舞われ、甚大な被害を受けた。あれから4年半。阿蘇は今どんな状況なのか。西日本新聞社の山歩き専門誌「季刊のぼろ」取材班は現地へ走り、記事は今月発売の冬31号特集で「阿蘇復興登山」と銘打って掲載。その一部を紹介する。 (木村貴之)

 地元住民を案内役に満喫する阿蘇の山歩き。こんな切り口で企画し、住民を探した。

 創業200年以上の歴史を誇る地獄温泉の再建に奮闘する湯治宿の主人▽家屋が全半壊した住民にテントや寝袋を提供し、避難者支援に奔走したアウトドア用品店店長▽地震後に転職して東京から帰郷し、地質学の視点で阿蘇を発信する阿蘇火山博物館の学芸員▽登山道の整備やルート開拓に取り組み、阿蘇の山歩きを支える登山ガイドたち-。

 自然の脅威を体験、実感しながらも阿蘇を愛し、守り、魅力を発信し続ける人々。そんな彼らと根子岳や倶利伽羅(くりから)谷、地獄温泉、大観峰、夜峰山、兜(かぶと)岩-へ。山歩きを通じて阿蘇を再発見する狙いだ。

 そもそも阿蘇山は、広大なカルデラと外輪山、中央火口丘に連なる阿蘇五岳(高岳、中岳、根子岳、烏帽子(えぼし)岳、杵島岳)などからなる火山。中岳は今も活発な活動が続く。カルデラは南北約25キロ、東西約18キロ、面積約350平方キロメートルで、規模は世界最大級。約27万~約9万年前に4度起きた巨大噴火で形成されたとされ、カルデラ内には約5万人が暮らす。周辺の草原を住民が採草や野焼きで維持する営みは千年以上続くという。

 そんな破格スケールの地域が一夜にして自然もろとも深手を負った。熊本地震は2016年4月14日夜に前震、16日未明に本震が発生。本震で阿蘇地域は最大震度7。多くの家屋が壊れ、外輪山は広範囲で斜面が崩れた。南阿蘇村では大量の土砂でJR豊肥線や国道57号は寸断し、渓谷に架かる阿蘇大橋が崩壊。多くの住民らが犠牲になった。

 時がたつにつれ被災地の復旧、復興は着実に進む。そうした中、今年9月の中岳火口周辺立ち入り自主規制の解除も後押しし、のぼろ編集チームは特集取材に動きだす。

 アウトドア用品店長を交えて参加した根子岳ツアー。その東峰(1408・2メートル)を登ると、近くの天狗(てんぐ)峰(1433メートル)を眼前に望む。山頂付近は崩落。生々しい傷痕に胸が痛むが、店長はこう語りかける。「地震で山々が傷むのも自然の形。阿蘇の自然が再生していくさまを、トレッキング(山歩き)を通じて一緒に見守りませんか」-。

 阿蘇の山歩きは火山活動の状況で立ち入りが規制される場合があり、事前に阿蘇火山火口規制情報を確認してほしい。 (写真・納富猛、大塚淑子、村上智一)

 

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