むなしく過ぎ去った“勝負の3週間” 時短不発、次なる手は

 政府が、新型コロナウイルス感染症の拡大を食い止めようと設定した「勝負の3週間」(16日まで)は、むなしく過ぎ去った。17日、東京都の新規感染者は822人、国内感染者も3200人を超えて過去最多となり、医療逼迫(ひっぱく)、崩壊の足音も近づく。緊急事態宣言の再発出を否定する政府が次に切れるカードは、国民への一段強い「地域間移動の自粛要請」だけになりつつある。

 政府の感染症対策分科会の提言を受け、西村康稔経済再生担当相が「勝負の3週間」を打ち出したのは11月25日だった。

 主な対象地域は、「第3波」とされる感染カーブが急になり始めていた北海道、首都圏、中部圏、関西圏。政府は知事ら首長とタッグを組み、繁華街の店舗に営業時間短縮を要請し、人出を減らして接触機会を抑えることで、感染リスクを下げようとした。

 だが、狙いは外れた。

 ソフトバンク子会社のアグープ(東京)が携帯電話の位置情報を基に、緊急事態宣言が発出された4月7日と、「3週間」最終日の16日の人出を比べた解析がある。それによると、全国45地点の主要駅、繁華街のうち、25地点で16日の人出が上回った。例えば、東京・歌舞伎町12・5%増▽大阪・なんば駅29・5%増▽福岡・博多駅26・0%増-といった具合だ。

 全国で見た場合、16日の人口10万人当たりの新規陽性者数は「3週間」前と比べて1・24倍、新型コロナ病床の療養者数も1・37倍となった。

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 この「3週間」になぜ、国民に危機感が浸透せず、行動変容が起こらなかったのか。

 緊急事態宣言の時のように、政府が「人と人の接触の8割削減」など具体的な数値目標を掲げることはなかった。経済回復を重視した裏返しとして、観光支援事業「Go To トラベル」の一時停止には時間を要し、営業時間短縮要請の対象地域も限られた。

 分科会の舘田一博氏は「メッセージが伝わりにくかった」と話す。尾身茂分科会長は、強いストレスを抱えながら新型コロナと向き合い続けてきた「国民の自粛疲れ」も挙げた。

 「第3波」は勢いを増し、大都市から九州をはじめとする地方に押し寄せている。

 厚生労働省に対策を助言する専門家組織は16日、20~50代の無症状や軽症の患者が「本人が意識しないまま、感染を拡大させてしまっている」と警鐘を鳴らした。特に、酒類を提供する飲食店でのクラスター(感染者集団)発生が増え、そこを起点に市中感染、家庭内感染へと急拡散し、経路の特定を困難にしているという。

 感染を制御して徐々に沈静化に向かわせるには、やはり「外出や移動を控え、人との接触を劇的に減らすしかない」と防疫の専門家は声をそろえる。より具体的に、「感染拡大地域とその他の地域間の往来を抑えるよう、政府が国民に踏み込んだメッセージを出してほしい」との訴えが一段と高まっている。 (河合仁志、久知邦)

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